教育福島0114号(1986年(S61)09月)-045page
ふるさと探訪
県重要文化財
(戦国時代の貴重な古文書)
首藤家所蔵石川文書
(二巻三十四通)
石川氏一族の石川大手氏に宛てた戦国期南奥州の大名諸家(会津蘆名、岩瀬二階堂、岩城、伊達、田村など)の文書である。三十四通のなかでも永享六年(一四三四)蘆名盛政譲状は、室町期蘆名氏の所領状況を示す重要な資料である。
また、二階堂盛義、岩城重隆、伊達植宗、田付清顕などの書状があって、戦国期南奥州すなわち木県地方の政治情勢をうかがうに足る文書群として、その資料的価値は大である。
所行地 玉川村大字中字向七十九番地
所有者 首藤忠行
石川文書二巻
二階堂盛義氏の書状の一部
(戦国時代の工芸)
銅鐘(一口)
もと鹿島神社別当鹿王山最勝寺の銅鐸であり、池の問二面に陰刻銘かある。
この銘文は松平定信(楽窮)の「集古十種」にも採録されている。銘によれば、この銅鐸は天文十三年(一五四四)に鋳造され、また、白河搦目城主結城白川氏親子や、重臣たちの名がみえる。作者は鋳物師早山済次であり、かれが白鋳し、白刻したという意味の「同時切」の三文字がある。
地方在住の鋳物師の作になる宝町末期の銅鐘として貴重である。
所在地 白河市大字鹿島三十四番地
所有者 龍蔵寺
白河、龍蔵寺にある青銅製の「銅鐘」