教育福島0116号(1986年(S61)11月)-006page

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提 言

 

生きものを可愛がる二とと

自然を護ること

 

宮城県美術館長 加藤陸奥雄

【筆者紹介】

 

【筆者紹介】

加藤陸奥雄・かとうむつお

明治四十四年 仙台に生る

昭和  四年 宮城県仙台第一中学校卒業

昭和  七年 第二高等学校理科卒業

昭和  十年 東北帝国大学理学部卒業

昭和 十九年 農商務省農事試験場技師兼東北帝国大学助教授

昭和 二十年 理学博士

昭和二十二年 東北大学教授兼農林技官

昭和四十二年 東北大学学生部長併任

昭和四十四年 東北大学理学部長併任

昭和四十六年 東北大学長(二期六年間)

昭和五十二年 東北大学長退任、大学入試センター所長

昭和五十七年 大学入試センタi所長退任宮城県美術館長(非常勤)となる。

 

このごろデパートなどで子ども相手にカブトムシが売られている。好奇心の強い子どもたちは早速それにとぴっく。森の中で遊ぶ子どもたちが樹の幹にカブトムシを発見して心をおどらせ、異常なまでの眼差しでながめる。この二つは同じカブトムシを対象としているが、子どもたちの得るものは同じであろうか。

幼稚園で園児たちが金魚を飼っている。金魚鉢の水をとりかえ、金魚に餌を与え、一生懸命金魚のめんどうをみている。小川で子どもたちがメダカをすくい、メダカをおっかけて嬉々として遊んでいる。同じ魚を対象として遊んではいるが、ここでも子どもたちの得るもの、学ぶものは同じなのであろうか。

日本における捕鯨問題が最近、世界の注視のまとになっている。よく、欧米人は牛肉をやたらに食べているではないか、ということばが聞かれる。しかし、これは的を射たことばなのであろうか。鯨は野生の動物であり、牛は家畜なのである。

 

言うまでもなく原始社会時代には人類は食物としての動物、植物はすべて野生の動植物に依存していた。人類をふくめすべての動植物は大気や無機的環境の中で、互いに食うものと食われるもののネットワークの中で生存している。生物的自然の世界と言われる世界である。

しかし、すぐれた創造力をもった人類は自然に働きかけ、自然を利用してすばらしい文化を築きあげた。その過程で野生の植物から作物をつくりあげ、野生の動物から家畜を育成した。それだけではなく野生の原種とは似ても似つかぬペットをつくりあげ、みごとな花卉植物を育てあ、げた。技術的創造の世界と言われる世界である。

だいじなことは、これらっくり出された家畜、家禽や作物、花卉植物

 

 

 


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