教育福島0117号(1986年(S61)12月)-008page

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特集

 

〜豊かな人間性と創造性をはぐくむ学校教育〜

学習指導の展開

 

はじめに

 

文部省指定教育課程研究校の公開発表会が、去る十月十五日に喜多方市立第一小学校で、十月三十日には原町市立石神中学校で行われ、二年間にわたる研究の成果を披露した。

両校とも、学校の教育目標の具現と当面する課題の解決に向けて、教育課程の編成及び実施について研究を深め実践を積み重ねてきたものである。

喜多方市立第一小学校では、国語科における説明的文章の読解力が不十分であることを実態調査等によりとらえ、研究主題「確かに読みとる力を育てる説明的文章の指導」とし、文脈に即した語句指導にポイントをあて研究に取り組んできた。特に、指導目標や指導計画を見直し、授業実践の中では、文章の中の言葉の働きや使い方の指導を重視し、思考する力、叙述に即して正確に読みとる力を育てるなどの成果を上げている。

石神中学校では、生徒一人一人を主体的に学習に取り組ませるために、理科・英語・特別活動を中核として研究を深めてきた。特に、特別活動では研究主題「学級指導における評価のあり方」を設定し、適切な評価資料の収集をもとに、授業の中で多角的・総合的評価を行い、生徒の積極的な参加を促し、生徒相互の話合いを深め、個々の考えを生かし、自己実現が図れるよう努めるなど多くの成果を上げている。

次に紹介する両校の研究の一端は、各校に多くの示唆を与えよう。

 

確かに読みとる力を育てる説明的文章の指導

−文脈に即した語句指導を通じて−

喜多方市立第一小学校

 

一 研究のねらい

 

説明的な文章の読解において、「叙述に即して細部まで読みとったり、文章構成の工夫や書き手の考えを理解しながら、論理的に思考したりする力が不足している」という指摘がある。

一方、子どもたちは、説明的文章の読解学習を嫌う傾向がある。映像文化、音声文化の氾濫による文字ばなれということもあろうが、説明的文章の学習が「つまらない」ということが、大きな原因であろう。

これらの指摘は、指導のねらいが先行し、文章の内容を読みとりながら、言葉で思考する、という子ども自らの読みをおろそかにしてきたことにあるのではないだろうか。もっと、子どもの生活経験や考えを大切にしながら、「わかる喜び」のある学習を組織していかなければならない。

そこで、本校では、説明的文章の指導において、文脈に即した語句の指導を重視することにより、言葉を通して思考し、感動し、確かに読みとる力の育成をめざして、研究を進めることとした。

 

二 研究仮説

 

説明的文章の指導において、文脈に即して、文や語句のはたらき続きぐあいを正しくとらえさせれば、確かに読みとる力を育てることができる。

研究仮説を設定するにあたって、基本的な考え方を次のようにとらえ、研究を進めることとした。

 

(1) 確かに読みとる力とは

文章をまちがえずに読んだり、文字を正しく音声化するだけではない。

教材のもっている本質的内容、思想、作者の意図、感情を読みとる力であり、書き手の思考を追体験し、読み手としての自分の思考を形成していく力である。

そのためには、叙述の展開に即しながら、統一のあるものとして前後関係を読みとらせていくことが大切である。

(2) 文脈に即して読むとは

説明的文章において、書き手は、伝えようとする思想を、もっともふさわしい語句や文、構成などを考えながら、書き手の論理に従って文章として表現している。書き手の論理は、文脈とし

 

 

 


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