教育福島0117号(1986年(S61)12月)-033page

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(三) 指導の具体的内容

 

(三) 指導の具体的内容

1) 持久走

それぞれの体力に応じて九百五十メートルから三千八百メートルまで八コース設定している。

2) サーキットトレーニング腹筋運動、背筋運動、腕立て伏せ、バーピー運動、スクワットジャンプなどを各十回ずつ行うことを一セットとして三〜五セット行う。

3) 球技

ソフトボール、サッカー、バレーボール、バスケットボールなど。

4) 反省

指導は学習終了後、各自に反省を述べさせ、自己の目標とその結果について明確に把握させる。

 

サーキットトレーニングで体力向上

サーキットトレーニングで体力向上

 

(四) 指導者及び役割分担

養護・訓練担当と体育部の教師が指導に当たり、児童生徒とともに活動している。また、各個人の体力や走るコースによって児童生徒を分担し、個別指導や安全管理に留意して指導を行っている。

 

(五)指導の状況

持久走やサーキットトレーニングの途中で軽い発作を起こす者もいるが、飲水、腹式呼吸など自力で回復する場合が多い。また持久走では、一人一人が時間を記録することで、前回より少しでも記録を縮めるという目的意識をもって取り組ませるようにしている。

全体で行う球技は、児童生徒にとって楽しみな活動であり、体力の向上と同時に心理的解決をはかることができる。小学部から高等部の児童生徒がいるため技能的な差が大きく、ゲームをする際の難しさはあるものの、上級生が下級生を援助する場面が多く見られ、みんな喜んで参加している。

 

四、反省と今後の課題

 

(一)指導の効果

本校転入時、小発作が毎日のように頻発していた者でも、医療側の治療と相まって、腹式呼吸を習得したり、学習に積極的に参加することによって症状が改善されている例が多い。

また、持久走の記録の向上や肺活量測定の結果などからも、肺機能及び持久力の向上が裏付けられるが、この点での資料の収集は十分でない。こういった資料を生かして個に応じた訓練を展開していくことが今後の課題である。

 

一分間に走った月平均距離

(二) 心理傾向との関連

 

(二) 心理傾向との関連

 

(二) 心理傾向との関連

上のグラフは一年間の持久走の記録をもとに、一分間に走った距離の月平均の変化を示したものである。

グラフ中のA児は、この後退院して前籍校に戻ることができたが、B児は現在も入院生活を続けている。この両者の違いは特に三学期の記録に表れている。A児の記録の向上には、退院への意欲や学習への積極生が深くかかわっていると考えられる。

そういった児童生徒の心理傾向を把握し、指導の手がかりとするため、本校では秦野式心理傾向調査、不安傾向診断検査(GAT)、Y-G性格検査、エゴグラムチェックリステスト(ECL)などを実施している。

 

五、おわりに

 

児童生徒は、発作への不安を克服し、自ら積極的に心身の鍛練に取り組むことにより、身体的にも精神的にも健全に成長して行くことができる。そのために、一人一人の心身の状態とその変化に対応した適切な養護・訓練の指導が重要であると考えている。

 

 

 


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