教育福島0117号(1986年(S61)12月)-043page
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重複障害については、二つ以上の障害を併せ持ち、かつ重度であるということから判断せざるを得ませんが、類別に関しては、今後の課題といえます。
四、実施状況
就学相談における保護者の子どもの障害に対する理解度をみてみますと、次のようになります。
一、いろいろな相談機関をすでに巡っていて、子どもの障害の状態について早期からよく理解しており、より適切な就学の場を求めようとするケース。
二、相談機関には何らかの形で行っているが、子どもの障害の状態を冷静に受けとめ、それを受け入れるまでになっていないケース。
三、相談は初めてで、子どもの障害の状態について知らないというケース。以上のようなタイプを踏まえながら相談を行います。
実施状況について、主訴の概況、背景になっている問題点、それに対応した助言という観点からふれてみます。
主訴の概況について、具体的に挙げていきますと、.相談件数によっていろいろ微妙な違いがあり、ここに全てを記載できませんので、概括的に三つに類別しました。(これ以後の記述については表2と表3を併せて参照願います)
表2 主訴の概況
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表3 状態及び助言
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◎就学先について
この相談の性格上、就学先についての主訴が多いのは当然なことです。子どもの障害の状態に適した教育を受けさせたいという願いにそって、子どもの障害の状態を理解・受容してもちいながら、就学先として予測される学校(小学校や養護学校)、 あるいは学級(小学校通常学級か特殊学級)の教育内容等について説明したり、学校や学級の見学等を勧めたりします。また、すでに就学している場合、その就学が適切であったかどうかについての相談では、その就学がより適切になるように助言しています。
◎養育について
子どもの障害の状態を正しく認識してもらった上で、どう接していけばよいか、どうかかわっていけばよいかについて助言します。なかには、複雑な家庭事情のために、子どもの問題状況をいっそう根深くしているケースもあり、家庭生活環境のたて直しにまで及ばなければならない場合もあります。ただ、教育相談にあっては、子どもの問題状況の解決を、家庭環境、ひいては親自体の責任だけに帰することは、基本的には避けなければならないと考えております。
◎指導について
就学するにあたり、園や保育所でどのようなことに気をつけて指導すればよいか、あるいは、すでに就学している場合は、日常の指導実践でどのように対処していったらよいかということで、より具体的な指導のあり方や留意しなければならない事柄等について助言しています。
◇お わ り に
過去の記録を見ますと、相談対象児の障害の多様化、わけても重複化が漸増しています。そのため、対象児によっては、一回の相談だけでは終結するのが難しく、後日、改めて養護教育センターに来所してもらい、より綿密に相談した事例も本年度は三件を数え、すでに来所による相談も実施しました。このような相談のすすめ方は、養護教育センターの機能をおおいに活用することになり、また、心身障害児の就学相談の趣旨を十分に生かして、適正な就学を推進することにもなります。今後は、このような連携による就学相談をいっそう充実していく必要があると思います。
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