教育福島0118号(1987年(S62)01月)-030page
特選入賞論文
「中心事象となじむ活動」による学習課題作り
東和町立木幡第二小学校
本論文は、昭和六十一年度県公立幼稚園・小・中・養護学校教職員研究論文に応募、特選に入賞されたものです。
研究主題『身近な自然に問いかけ、自ら問題を解決する児童の育成〜「中心事象となじむ活動」による学習課題作り〜』とし、全教職員が研究に取り組んだ優れた論文です。
一 研究の趣旨
(一) 研究の動機とねらい
今日のようにめまぐるしく変化する社会においては、現代そして未来をたくましく生き抜く子どもの育成が強調されている。そのために、豊かな人間性を基盤として、深く考え、自ら問題を解決しようとする態度と創造的な知性を身につけることが大切である。
本校の教育目標においても、未来を強く生き抜く子どもの育成をめざし、特に、「深く考える子ども・進んで実行する子ども」の育成をその中核に据えている。これらの目標を具現化するために、「学力の向上・自主性の伸長」を重点努力目標とし、学校生活のあらゆる場で、その実践に努めてきた。
教科指導においては、理科教育を中心とした研究を推進し、学習の仕方やノートの記録等にその成果を上げてきた。しかし、論理性、柔軟性を基盤とした問題解決力という点については、まだ問題が多く残されている。
そこで、これまでの研究を基盤として、児童の自然に対する感性を高めながら、児童一人一人に真の問題解決力を身につける必要があると考え、研究を推進した。
(二) 問題点
本校の理科教育の中で、現在、問題点として明確になっている具体的なことは、次のような点である。
○ 豊かな自然に恵まれているにもかかわらず、自然に対する興味・関心が比較的希薄である。
○ 授業の中で活発な活動はするが、意欲が持続しない。
○ 観察・実験の方法や器具操作等での工夫する態度が見られない。
○ 観察・実験で得た結果を相互に関連させて考える力が足りない。
(三) 原 因
日常の理科指導から、問題が生じた原因をさぐってみると、次のようなことをあげることができる。
○ 授業で扱う自然が、あまりにもセット化され過ぎていたために、本来の自然との間にギャップを作ってしまった。
○ 児童の活動を引き出そうとするあまりに授業の進め方が誘導的で、児童の問題意識とかけ離れたところで活動が行われていた。
○ 単位時間だけの課題把握に終わり、単元を見通しての課題把握・活動がなされていないため、児童の学習意欲が持続しない。
二 研究の仮設
(一) 仮説のための理論
本校の理科教育の問題点やその原因について考えてみると、次のようなことが言える。
一つは、児童が何を考え、何をやりたいのかという、児童の意識をとらえ
研究に取りくんだ全教職員の皆さん
資料1 理科に対する意識調査(抜粋59年度)