教育福島0118号(1987年(S62)01月)-000page
教育福島
'87 1月号 Vo1.118
目次
−表紙絵〜ベン・シャーンー「飛ぶ鳥のすがた」一
県知事 松平 勇雄
県教育長佐藤昌志
・理科学習 ・生徒指導
生涯教育インフォメーション [PDF]ふるさと文化ふれあい教室
ふるさと探訪 [PDF]医王寺の石造供養塔群及び三島町の年中行事
名画散歩
表紙絵絵「飛ぶ鳥のすがた」
ベン・シャ−ン作
版画集 <リルケ「マルテの手記」より> アメリカの画家ベン・シャ−ン(一八九八〜一九六九)が、ドイツの詩人リルケの「マルチの手記」に感銘を受けて制作した版画集で、確かな造形と繊細な色彩が融け合った彼の代表作です。(紙・リトグラフ 五七・三×四五・三cm
一九六八年製作 福島県立美術館蔵)
今月号では、アメリカ美術とベン・シャーンについてご紹介します。
ヨ−ロッパの美術の影響が強かったアメリカの美術が、独自に発展を始めるのは二十世紀に入ってからです。第一次世界大戦の勃発によってヨーロッパから多くの芸術家がアメリカに避難し、その影響でアメリカの美術は大きな変貌を遂げました。抽象絵画、つまり人物や風景などの具体的な対象を描くのではなく、色や形や線によって画面を構成する絵画が隆盛しました。ポロック、デ・クーニング、マザーウェルらは抽象絵画の代表的な画家たちです。
一方、身近な日常生活を題材として描こうとする画家も多く現れました。ジョン・スローン、国吉康雄、ベン・シャーンたちは、都会の裏通りや広大な農地を耕す人たち、失業者や現実に起きた事件などを好んで描きました。それは美しい風景でも理想的な人物でもありませんが、しかし真実のアメリカの姿なのです。
(「W.P.A.サンデ−」ベン・シャ−ン作 紙・グァッシュ 55.9×77.5cm 1939年制作 福島県立美術館蔵)