教育福島0118号(1987年(S62)01月)-047page
世界の教育は、今。
海外教育事情の紹介
画一的でない柔軟さ
アメリカ合衆国
ロートアイラント州
アメリカ合衆国ロードアイランド州の義務教育は六歳から十六歳の誕生日を迎える年までの十一年間であるが、一部では五歳児への義務教育前教育も行われている。また、二の州でも、学区ごとに設けられている学校委員会の権限か強く、住民によって選出された五名ないし七名の委員か教育内容をも決定する。ノーススミスフィルド町のジュニア・シニア八イスクールでは、学校委員会の決定で、昨年から外国語(フランス語、スペイン語)の授業が中止されるなど、あまりにも学校の独自性が強く問題も多いので、最近、公立学校の教育課程をある程度共通化しようという動きが全国的に高まっているという。
州の北部に位置し、フランス系カナダ人が多いウーンソケット市では六、三、三制の真ん中に当たるジュニアはイスクール。同市の南西部に隣接するノーススミスフィルド町では六、三、四制の七年生から十二年生までが共に学ぶジュニア・シニアハイスクール。同じく南東に隣接するチャンスバーランド市では、義務教育前教育、五、三、四制の三年制のミドルスクールの三校を視察した。「なぜ、同じ州の中で町によって学校制度が違うのか」といいう問いには、「その町にとって、その制産が最もふさわしいからだ。変えようと思えば、いつからでも、との上ような制度にも変えられるが、変えないのは、その必要を認めないからだ。日本は六、三、三制を最もすばらしい形で実施している国だと聞いている」という答えが返ってきた。
日本の学校制度でいえば高等学校にあたる中途の学年で、義務教育終了年齢の十六歳に達するが、その後の退学率も学校の置かれた環境によって大きな差があり、州の標準以上の経済カをも持つ家庭の子弟が多い学校では、わずか一パーセント末満であるのに対して、あまり恵まれていない家庭が多い地域の学校では二十五パーセントを越えるという。
生徒の服装や生活についても規制がゆるやかで、女子生徒の装身具(イヤリング、ネッレス、指輪なと)や化粧の可否については、親の判断にゆだねるなど、その是非はともかく、自由の国アメリカ合衆国らしい、画一的でない柔軟さが随桁にあらわれていた。
昭和六十一年度文部省教育海外派遣・第十三団
昭和六十一年九月十七日〜十月十六日
河東町立川東中学校教頭
深谷賢一
コンピュータを使っての学習 (ジュニアハイスクール)
ドレスアップして歓迎 (シニアスクール)
食堂で昼食 (ミドルスクール)