教育福島0119号(1987年(S62)02月)-006page

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提 言

 

ひろげられた教育観を持とう

 

文化功労賞受賞者 今井豊蔵

 

文化功労賞受賞者 今井豊蔵

 

(筆者紹介)

今井豊蔵・いまいとよぞう

明治四十一年一月二十日福島市松川に生まれる

昭和  二年 三月 福島師範学校卒業

昭和  二年 三月 福島市瀬上小教諭

昭和  七年 三月 福島市福島第四小教諭

昭和  九年 三月 福島市飯坂町湯野小教諭

昭和 十七年 三月 福島市飯坂町東湯野小学校長

昭和 十九年 三月 福島市飯坂町平野小学校長

昭和二十一年七月福島県内務部社会教育課勤務

昭和二十四年 九月 福島県教育委員会社会教育課長

昭和二十八年 一月 福島県教育委員会信夫出張所長

昭和二十九年 四月 福島市飯坂町湯野小学校長

昭和三十九年 四月 福島市福島第一小学校長

昭和四十三年 三月 退職

昭和四十三年 六月 福島市社会教育委員

昭和四十七年十一月 市町村社会教育委員連絡協議会長

昭和五十八年 三月 福島県明るい選挙推進協議会長

昭和五十八年 五月 福島県退職校長会長

 

表 彰

 

昭和五十三年十一月叙勲 勲五等双光旭日章(内閣総理大臣)

昭和六十一年十一月福島県文化功労賞(福島県知事・福島教育委員会)

 

宮本武蔵は『五輪書』を書き残したが、「地水火風空」五巻のうち、現代教育に最もかかわるものとして、私は「水の巻」をとりあげている。

「観見二ツのこと、観の目つよく、見の目よわく、遠き所を近く見、近き所を遠く見る事、兵法の専也」の言葉は、いみじくも、現代の教育に対する日本人の、近視眼的な教育観に、するどい批判をくだしていると私は理解しているのである。

私は昭和十四年五月、三十三歳の時京都武徳殿で挙行された剣道錬士(五段)試験に応じた。術科(試合・地稽古)の外、学科、人物試験が行なわれた。学科にそなえて「五輪の書」とか「不動智神妙録」とかの武道書を学習した。特に五輪の書は好んで何度も讀破した。おかげで見事試験はパスし、剣道錬士の稱号を受けることになった。私の観の目を働かせることに努力した日頃の精進に曇りのなかったことに満足したのである。

ところで日本の教育はここ数十年、学校教育こそが教育であると思われてきた。そして「学校教育・社会教育・家庭教育・企業内教育といった、あらゆる教育機能の協力、いうならば、ゆりかごから墓場までの学習継続」こそが真の教育であるとする生涯教育の理念が、ここ十数年以前から唱導されるようになった。この教育革命とも申される「生涯教育の推進」こそが、広くひろげられた正しい教育観であると私は体験を通し教育信念としていだいているのである。

民主時代になってから、言論・思想、出版が自由になり、各人の

 

 

 


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