教育福島0120号(1987年(S62)04月)-013page

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々として取り組んだ。

2) 本時では、前時までの興味・関心の高まりを継続させるために、堅穴式住居づくりの仕上げから入った。

3) できあがった状態で、縄文時代前期の堅穴式住居のTPシートを見せ、外見上の違いから「なぜ、このように変化していったのか」という課題を作らせた。

4) その課題について、一人一人に自分の考えをもたせ、理由づけをして発表させた。また、自分の考えをなかなかもてなかったり、出せない児童や一人一人の考えのずれを修正するための配慮として、グループで自由に話し合える場を設定した。

5) けむり出しのための屋根の工夫や水から守るための土堤の工夫については比較的容易に出ると思われるが、米づくりが始まり、定住生活をする必要が生まれたことにより、住居に工夫が加えられたということに焦点をあて、次時へつなげるようにした。

6) 自分なりの考えをもたせるために、吹き出しを用いて一人一人にまとめさせ、さらに理解を深化させるために発表の機会を設けた。

(5) 反省・考察

1) 本小単元の学習を通し、児童は生き生きと学習に取り組み、登校後、休み時間、昼休みなど、自分たちが遊ぶことも忘れ、縄をない、つたで木と木を結ぶなど、教師の予期しなかったことにも、積極的に取り組む姿がみられた。一歩ふみこんだ姿といえる。

 

「堅穴式住居」を自分たちで作った。

「堅穴式住居」を自分たちで作った。

 

2) 堅穴式住居づくりについては、児童の主体的な活動があったために短時間で終わることができたが、今後指導計画にどのように位置づけるかを考えていく必要がある。

3) 自分たちの考えを十分に出したり、対立意見を述べたりしながら互いに学習を深めていけるような時間と場の設定に工夫をしていく必要がある。

4) 地域素材の教材化と資料提示の在り方については、今後とも工夫していく必要がある。

 

三、研究の成果と今後の課題

 

(一) 研究の成果

 

(1) 教師の変容

1) 児童の学習意欲を高めるために、写真やOHP、VTRによる実物の提示など、課題提示に工夫がなされるようになってきた。

2) 「養蚕」や「羽山りんご」などの地域素材の教材化を図り、児童が主体的に活動できるようにする研究実践がなされてきた。

3) 児童の考えを大切にし、一人一人が主体的に、しかも十分に活動できるような場の設定に工夫がみられるようになってきた。

4) 観察・資料活用の能力を育成するため、身近な物や場所を取り上げ、繰り返し観察させたり、調べ、させたりするなどの工夫がみられるようになってきた。

(2) 児童の変容

1) 学習への取り組みかた

ア 自分のたてた予想が、本当にそうなのか確かめようとする意欲がみられるようになってきた。

イ 学習に必要な資料や参考書を自分で探し、課題追求の際に使おうとするようになってきた。

2) 学習のしかた

ア 課題の作りかたや、問題を解決するための手段などがわかり、積極的に活動する児童が多くなってきた。

イ 課題に対する学習のまとめができるようになり、自分なりの言葉で表現できるようになってきた。

3) 社会的事象に対する見かた

ア 学習したことをもとに、自分たちの生活とのかかわりを考えるなど、地域社会に対する関心が高まってきた。

 

(二) 今後の課題

 

(1) 一人一人が課題意識をもつようにはなってきているが、それを全体のものとして練り上げていくことが不十分である。

(2) 予想をたてる場合、直感的なものが多く、友達の意見に左右されやすいので、筋道をたてた予想ができる力を育成する必要がある。

(3) 自分で資料を収集する場合、どこから取り上げるか、どの資料が適しているのかなど資料選択能力を育てる必要がある。

(4) 児童の主体的な活動を促すような教師の発問は、たいへん重要なものであり、今後さらに工夫、改善していく必要がある。

 

 

 


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