教育福島0120号(1987年(S62)04月)-019page
学習活動させる。
3) 作目
○生徒−雪菜・小松菜・春菊など職員・父兄−キュウリ・花卉類
4) 活動状況と成果
九月下旬に温室の改修工事が完了した後、温室内は種床の耕起と土壌消毒・施肥を行って、栽培学習ができる状態にし、十月上旬には生徒の勤労体験委員会が中心となって、自主的学習活動をすすめた。
○温室の改修や栽培等において、父兄の親身な協力が得られた。
○冬期間の作物栽培への期待と関心が高まった。
5) 課題
○各ホームルームで、温室での栽培学習年間計画を生徒につくらせる。
○温室と圃場の関連を図った栽培管理を実践させる。
三、研究の成果
本校の沿革と、生徒の実態をふまえ、全教職員、生徒一丸となって本研究をすすめた結果、学校に誇りをもつ生徒が多くなった。特に生活態度、学習態度が向上し、学校生活に明るさと、さわやかな雰囲気が感じられるようになった。
さらに、勤労と職業に対する理解が深まり、進路に対する意識の高揚と、奉仕活動の尊さが理解されるな
温室内のは種床つくり
どの成果をみることができた。これらのことは生徒の感想文や、アンケートの調査結果からもみることができる。
勤労体験学習のさまざまな展開を通して、学校の特色づくりをしたことが、PTAはもとより、地域社会からも評価されて、本校への期待が高まった。
(一) 栽培学習
生徒は、「栽培して大きく育っていくのが楽しみでした。まるで子供の成長をみとどけているみたい」というような喜びを通して、「働くことの大切さと協力したときの力の大、きさ」を学び、「勤労体験学習でいろんなものを作れば、将来農家をついでも立派な野菜が作れる」と将来の職業に自信を感じるまでになつた。また、「栽培学習は、現在の若者に欠けている働くことへの意欲をもたせることができる」という感想を持った生徒もいる。これらのことから、勤労観の育成という所期の目的は達成されたと評価することができる。
(二) 環境美化
校舎内外の清掃・花壇作り・校庭・校舎周辺の除草を通して、学習環境の美化と整備に努めた結果、「花を植えると学校がとてもきれいに見えます。花の種類を多くすればもっときれいな花壇ができると思います。それから花壇のプラカードをもっとすてきなものにしたらどうでしょうか」と学園の変化を心から喜び、建設的な意見を出すようになってきた。また、「暑い日でも、花壇や校舎周辺を除草したことが、一番大変だったような気がします。でも少しずつ草をむしって土が見えてくると、とてもよい気分になり、除草することの大切さが理解できました」と勤労の意義を体得した感想を残している。
(三) 奉仕活動
あるなろ病棟の奉仕活動を続けた生徒は「子供の好きなものをもって子どもに会いに来な母親の、帰るときの姿が、とっても寂しそうに見えました。もし、私がこういう境遇の子どもだったらと思い、涙が出ました」と人間の姿を凝視した感想を書いた。生徒は奉仕活動を通して、人生についての大きな勉強をしたようである。
(四) 啓発的学習
市内の職場見学・テーブルマナー実習・ホームプロジェクト・温室栽培学習等それぞれの体験学習を通して、勤労と職業についての認識を深めることができた。
(五) 全学習を通した生徒の変容
1)勤労体験学習によって働くことへの意識が変化した生徒が多くなった。
2)学校生活の中で、お互に分担して活動することによって、協力したり、自分の行動に責任をもつ態度が向上した。
3)働くことに喜びを感じて、学校生活に希望をもつようになった。そして、学校での生徒間の話題や、教師との話題にも明るさが感じられ、学習の雰囲気も良くなった。
4)学習環境を良くしようとする意識が高まり、学校に魅力と誇りをもつ生徒が多くなった。
5)他人をいたわる「やさしさ」がみられるようになり、奉仕することの尊さが理解できた。
(六) 二年間の勤労体験学習で、この学習に対する職員の共通理解が深まり、計画的・組織的・継続的に勤労体験学習をすすめる体制ができた。
(七) PTAや地域の協力を得て、特色ある学校づくりを推進する基盤ができ、方向を明確にすることができた。