教育福島0120号(1987年(S62)04月)-046page

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楽しい学校

レポート・学校から

 

豊かな感情を育む三つの柱

二本松市立岳下小学校

 

「ぼくが、ことし一ねんかんのなかで、いちばん こころに のこったことは、あだたらとざんです。はじめて ちょうじょうに のぼりました。赤やきいろの もみじが、とても きれいでした。らいねんも あだたら山に のぼってみたいと おもいます」

年度末のある日の集会活動で、一年生の男の子が発表したことばである。

校歌にうたわれている安達太良山。「登ったこともなくて、歌詞の意味や作者の願いなどがわかるだろうか」そんな疑問と「自然学習に最も身近な宝庫を活用しないのは、大きな損失」「山登りは、己との闘いだ。今の子どもたちにそれが最も欠けているのではないか」などの討論を経て行事に組みこまれた全校登山。

急に険しさが増し、高山特有の様子に一変する"くろがね小屋"からは、六年生と一年生のペア登山となる。

がまん、がんばり、助け合い、慎重さ、感謝など人間らしい心が、集中的に要求され、それらが体を通して自然に発露してくる全校登山である。

「……ぼくは、どちらかといえば、もの事に感動するほうではなかったが『ベロ出しチョンマ』を読み、『長松』の生きかたについて、みんなで話し合うなかで、人間の生きかたを深く考えさせられた。読書がぼくを変えたのである」

六年生の読書集会活動で発表された一文である。

「ベロ出しチョンマ」は、本校が数年がかりで独自に作成した読書指導計画五年の集団読書の一題材である。

集団読書、個人読書そして学年読書集会などを通して、いろいろな作品に出会い、話し合いながら、子どもたちはおたがいに高め合っていく。

読書指導、全校登山をはじめとする学校行事、そして集会活動、この三つの柱が、教科学習を土台にして組み立てられている。これが本校の姿である。

 

ペアを組んでのあだたら登山

ペアを組んでのあだたら登山

 

教えながら日本語学ぶ中国語クラブ

いわき市立草野中学校

 

本校には、五十七年度から五十九年度にかけて、中国から帰国した家庭の生徒が四名在籍している。その内の三名を先生にして得意な中国語を教えさせ、反対に不得手な日本語を友だちから教わる場を作ってやったら、日本語を早くマスターし、学校生活にもとけこめるのではないか、これがいはば中国語クラブ誕生のきっかけであった。

クラブ員は男子七名、女子五名の計十二名。もちろん、顧問教師も生徒側の席に坐る。毎週、木曜日のクラブ活動の時間に三人から指導を受ける。

テキストは、彼らが中国で使用した小学二年生用の国語の教科書。まず黒板にその日学習する文を書き、読み方の模範を示し、声を出して読み、発音をチェックしてもらう。また、漢字の発音やアクセントを中心に、日常会話の基礎も学ぶ。「ニイハオ、ニイハオ」三人の発音に続いて発音の練習。「アレ、アクセントが違う」と注意する「先生」の日本語のアクセントの方もだいぶアヤしい。それでもうまくできると拍手し合ったりして和やかなムードを全員が楽しんでいる。

中国語を日本語に訳すことで、三人の日本語もメキメキ上達。友だちとのコミュニケーションも増え、表情もめっきり明るくなってきた。また、「中国で勉強したことが日本でみんなの役に立った」との自信も。十二名のクラブ員も、将来は簡単な会話くらいはと意欲をもやしている。

本校は、六十二年度から国際交流研究指定校となったが、この中国語クラブも、生徒たちの国際感覚の養成に役立つものと期待を寄せている。

 

中国語の楽しい学習風景

中国語の楽しい学習風景

 

 

 


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