教育福島0121号(1987年(S62)06月)-014page

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積極的な生徒指導をめざして

 

高等学校

 

はじめに

 

生徒指導は、すべての生徒のそれぞれの人格のよりよい発達をめざすとともに、学校生活が有意義で充実したものになるよう努めながら、社会的な資質や行動を高めようとするものです。

各高等学校においては、県教育委員会「学校教育指導の重点」に基づいて生徒指導の徹底に努めているところですが、県教育委員会では、より一層の生徒指導の改善充実をめざして次の地区と高等学校を指定し、研究推進を図ってきました。各学校での実践の参考にしていただければ幸いです。

 

県教育委員会指定

( )内は研究指定年度

 

・原町市(六十一・六十二) 「中高連携推進地域指定事業」−中学校・高等学校が地域社会の理解と協力のもとに多様な連携と一貫した教育を行い有為な社会人の育成を図る−

・福島女子高等学校(六十・六十一)

「個々の生徒に即した生徒指導のあり方」−自己実現・自己開発を早期に図るために−

・長沼高等学校(六十一・六十二)

「意欲的な学校生活の実現をめざす生徒指導の実践」

 

文部省指定

 

・福島工業高等学校(六十・六十一)

「生徒指導を効果的なものとする協力体制(学校、家庭、地域)のあり方」

 

個々の生徒に即じ准生徒指導のあり方−自己表現・自己開発を早期に図るために−

県立福島女子高等学校

 

一、はじめに

本校は、全日制普通科十学級、生徒数千四百十三名の女子高等学校である。

明治三十年四月、福島町立福島女学校として開校され、本年は創立九十周年の記念行事も用意されている、本県女子教育の草分けの高等学校である。

卒業生の総数は、今春三月で二万五千人を超えた。生徒の通学範囲は広く、二市二郡の約四十校の中学校から入学している。

明治・大正時代には、良妻賢母をモットーとする女子教育のパイオニア的役割を果たしてきたが、近年は、県内屈指の進学校に変容した。

生徒会活動の分野での活躍も目ざましく、例年十指に近い数の部が全国大会に出場し入賞したり、最優秀校に選ばれたり、金賞獲得等の成績を挙げている。

 

二、研究主題の設定理由

本校における生徒集団の中には、成績面で下位グループに入ることを余儀なくされ、自信を喪失し精神的打撃を受け、明るさを失って登校拒否的症状を呈する生徒も時折出現する。筑波大学稲村博助教授の説によると、次のような経路に整理される。

◇精神的ショックを受けるきっかけ

(学業不振・失恋等) →身体的症状の表現(腹痛・頭痛・不潔恐怖等)→ 逸脱行動に屈折する(家庭内暴力・登校拒否・家出・不登校・非行化等) →思考障害を起こす(自己中心的思考)→ 無気力・意欲障害(昼夜逆軽等)→ 退行現象を起こす(幼児化、駄々っ子)。

本校ではへこうした精神障害や逸脱行為に陥った生徒に対処するために学習指導、進路指導、生徒指導、保健指導等、本校教育の全領域において指導計画を策定し、一人一人の生徒が目的意識を強く持って活力ある高校生活が送れるよう研究を進めた。

 

三、研究内容と研究方法(資料1参照)

 

四、研究の組織

中心の組織“研究指定校研究推進委員会(教頭外十八名)組織図(略)

 

五、各分野別の実践研究

(一) 教育課程の展開と生徒指導

1) 教育課程編成の基本方針

本校では、一・二年生にあっては、全クラスを共通の課程によって幅広く基本的な学習をさせ、三年生では、文・理二つのコースに分け、選択科目により生徒の能力・適性に応じて学習できるよう編成した。学校裁量の時間については、基礎科目の増単を図り、ゆとりをもって学習ができるよう配慮した。

2)各教科以外の教育活動の指導方針

数多い生徒の中には、幼少時から家庭や学校で甘やかされて育った生徒もおり、望ましい生活習慣に欠けている生徒もいる。その意味で教科外の教育活動を通しての自発的な生活習慣や規律ある生活習慣を体得させることや、社会生活への適応力を伸ばす指導は、きわめて重要な教育課題となっている。全職員は顧問や委員となり、個々の生

 

 

 


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