教育福島0121号(1987年(S62)06月)-017page
うな成果を収めることができた。
(一)職員全体に生徒指導の本質的な領域についての共通理解が生まれ、それぞれの教育分野において、それぞれの果たすべき生徒指導上の役割と自覚が深まった。
(二)生徒の進路の多様化に対応し、科目選択の機会を増やすと共に、生徒の志望や適性に対応して学力を伸ばし、自己実現へのルートを無理なく選定できるようにした。
(三)進路指導については、生徒指導部の実施した「学習適応性検査」、 生格診断の「教研式MG検査」「マルチ検査」の結果を踏まえて、個別面談、随時面談、三者面談を進め、自信を持って進路指導を進めることができるようになった。
(四)生徒指導部は、生徒理解を深めるため、個々の生徒に即した生徒指導の基礎資料として「学習適応検査」を実施した。生徒の学習への適応状況はすこぶる高いこと、また性格類型では自律性に富み、何事にも能動的であることなど指導の基礎資料としての実態を把握することができた。また一方では、五〜十%の生徒は、不適応性、不安定性、他律性などの数値が高いことも同時に把握することができ、今後の貴重な資料として十分活用を図りたい。
(五)本校に多くの生徒を入学させる主要中学校と懇談の機会を設け、進路、学習状況、生徒指導等について情報を交換し合った結果、中学校との間に信頼関係や協力関係を醸成できた。
七、今後の課題
今後の課題として、ぜひ継続研究しなければならないことが二つある。
(一)生徒一人一人に、自己実現を図るための進路や生活設計についての豊かな選択能力を身につけさせてやること。
教育課程や進路指導において、生徒一人一人の天性を伸ばそうとして選択の手だてや機会を用意しても、それには生徒自身に選択する能力のあることが前提条件となる。そのためには」生徒の実態を熟知し、それに対応した授業展開と、生徒の自律的行動力を伸長させるような部活動の指導、生徒指導も不可欠の要件である。
(二)○事故を未然に防止する生徒指導体制を確立すること
マルチ調査の結果から判明したように、本校の生徒の中には、学校生活や家庭生活に不適応を来たし、心の不安を抱えている生徒が約一割いることが分かった。そしてこれらの生徒たちの求めている相談相手としては、学校では同世代の友人であり、家庭では母親が圧倒的に多い。したがって、今後の生徒指導においては、円満な人間関係、特に信頼度を高める友人関係をつくりあげていく指導、情緒の安定をもたらす仲間づくり、さらには、親子の絆を強めるための学校と家庭との話し合い(PTA活動、母親学級、親と子と教師の語る会)など、いわゆる事故を未然に防止する積極的な生徒指導の体制を強化・拡充して行きたい。
資料4 MGから