教育福島0121号(1987年(S62)06月)-018page
生徒指導を効果的なものにする協力体制(校内体制、家庭・地域の連携)の在り方について
県立福島工業高等学校
一、はじめに
本校は、文部省より高等学校生徒指導研究推進校として指定を受け、昭和六十・六十一年度の二年間にわたり、「生徒指導を効果的なものとする協力体制(校内体制、家庭地域の連携)の在り方について」を研究テーマに実践的研究を進めてきた。ここにその研究の一端を紹介したい。
二、主題設定のねらい
全教職員の参画による指導方針の確立と実践、学校と家庭・地域の協力なくして生徒指導の効果を期待することはできない。
生徒指導は学校の全教育活動に深いかかわりあいをもつものであるから、地域や生徒の実情に即した重点目標の確立と、教師間の協力、さらには家庭・地域との連携など全体的構想の策定が必要となる。
生徒指導の実効を期すためには、全教職員の共通理解に基づく役割分担の明確化と指導の一貫性が不可欠の要諦となろう。
生徒指導の成否は、学校内外の協力体制の如何によって決定されるといっても過言でない。
本校は大規模校であり教職員の数も多く、工業高等学校であるために各科職員室も分散している。
このような現状から、各学科・教科・課・学年の枠にとらわれず全教職員の一貫した共通理解のもとに、生徒指導にあたる校内体制が特に望まれるところである。
多様化している生徒の実態をふまえ、基本的生活習慣の育成と、よりよい生徒の変容をめざし、学校と家庭・地域の教育機能の補完・統合を図りつつ、校内及び学校内外のあるべき協力体制を模索したいと考えこの主題を設定した。
三、研究実践の成果と問題点
(一) 第一年次の研究実践
昭和六十年度は解決すべき目標と解決への方策の決定に、多くの時間を費やした。
全教職員はいずれかの学年に所属し、研究協議は校務分掌上から、各学科・各教科の学習活動の面から、及び学年の立場からと一人の教職員が一つの協議題に対し、それぞれ三つの立場から「何が問題で何をなすべきか」の問題点を数回にわたって討議した。
さらに生徒の実態を客観的に把握するため、生徒及び保護者に対し実態調査を実施することとした。実態調査用紙は生徒指導研究推進実行委員会事務局において作成した。
調査項目数は、基本的生活習慣について三十項目、劣等感、性格のゆがみについて二十九項目、欲求不満について二十八項目、学業不振について三十項目、保護者対象の家庭・社会環境について六十項目の計二百八項目となった。
実態調査の回収率は、生徒・保護者ともに九十五パーセント以上であった集計は各クラス、各学年で行い、分析は各学年とアンケート作成者で実施した。
問題点の把握と解決すべき項目が明確化された段階で本研究の副題を「基本的生活習慣を確立させ、自己理解と目的意識の深化を図り、自主的行動のできる生徒を育成する協力体制とその方策について」と決定した。
全教職員による解決策の研究協議を基盤として、解決すべき重点項目に見合う七つの研究委員会
1)基本的生活習慣研究委員会
2)ホームルーム指導研究委員会
3)集会指導研究委員会
4)学校だより研究委員会
5)方部会運営研究委員会
6)オリエンテーション研究委員会
7)学習活動研究委員会
を組織し、全教職員はこのいずれかの委員会に所属することとした。
各委員会の構成は、協力体制が最もよく発揮できるよう各学科・各教科、各課、各学年等のバランスを考慮して委嘱した。
問題点把握のための各学科・各教科、各課、各学年のグループにおける研究討議、生徒・保護者への実態調査項目の作成・分析及び問題点解決への組織づくりの作業等を通して生徒に対する認識をより深めることができた。
全員が複数の立場から研究実践にあたるという全員参画システムは、諸会合の回数を極めて多くするという結果を招来し重複する面もあったが、課題意識をより強固なものとした点で有意義であったと思料される。
(二) 第二年次の研究実践
昭和六十一年度は各委員会の実践目標・実践項目の設定と実践活動に全力を傾注した。
基本的生活習慣研究委員会は「自己理解に立脚した節度ある人間関係の確立」をめざし、あいさつの励行、時間の厳守、清掃の励行を三本の柱とする具体的実践項目を設定した。
ホームルーム指導研究委員会は「ホームルームの活性化と集団生活の充実化」をめざし、短時間のホームルーム時間の確保、HRリーダー養成研修会の開催を具体的実践項目の柱とした。
集会指導研究委員会は「集会の効率化と自律的行動の醸成」をめざし、集会の効率化と魅力化、生徒の自律的行動の醸成、校内指導体制の確立を実践項目の中心に据えた。
学校だより研究委員会は「家庭の理