教育福島0121号(1987年(S62)06月)-020page

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橋的存在となった「学校だより」の今後の課題は、学校だより作成の任務を校務分掌のどこに位置づけるか、保護者の声をどのように吸収し、どのような形式で掲載するかの二点にある。

5)方部会運営研究委員会

全教職員はいずれかの方部会の顧問となり、方部長との連携を密にしつつ内容の改善に努め、八月下旬までに全二十三方部中十九方部が開催し終えた。保護者の方部会運営や学校行事への協力もよく行われ、校内マラソン大会においては、給水協力や交通整理など父母の活躍が目立った。また方部会の要請による学校参観をも実施した。この参観の模様はビデオテープに録画、他の方部会の際に映写することによって波及効果を期待した。方部会の結成は三年目と日が浅く、改善点は多々あるが、当面、会員の参加率の向上、学校行事への参加方法、生徒・父母共同の地域活動への参加方法等が解決すべき問題点である。

6)オリエンテーション研究委員会

オリエンテーション研究委員会は、新入生の目的意識を明確にさせ、保護者の十分な理解と協力を得るため、新入生の手引きの作成と保護者同伴のオリエンテーションを実施することとした。昭和六十二年度の「新入生の手引」については、各教科内容や実習内容、進路情報、資格試験の取得要領、部活動や必修クラブの紹介等を追加する予定である。保護者同伴のオリエンテーションは、購買部と業者の協力を得て午前中に実施し、学用品販売と体育着・実習着の採寸は、当日の午後、全教職員の協力を得て実施する方針である、今回は方部別による学校参観を実施したが、さらに進めて学年単位の授業参観日の設置について検討しているところである。

7)学習活動研究委員会

学習活動研究委員会は、各教科において学習意欲を高めつつ基本的生活習慣を確立させ、学習指導と生徒指導の一体化を目指す授業システムを工夫するようにした。実践に際し、年間指導計画の中にわかる授業の作成計画、基本的生活習慣を身につけさせるための計画を導入すること、アンケートを実施して学習意欲や基本的生活習慣に関する実態調査を行うことの二点は不可欠のものとして各教科で実施した。研究実践に際し継続の重要性が認識され、協力体制を維持しつつ改善を進めていくという集約がなされたことは、全教科を網羅するこの委員会として一定の前進であるといえる。

 

四、今後の課題と取り組み計画

 

新たに設置した七つの委員会は、改善すべき項目に一致するものではあったが、領域の差が大きく、具体的実践事項にもかなりの量的バラツキがみられた。協力体制を整える上からも領域のバランスを考慮すべきであった。また各人が複数の立場から参画したことは、諸会合の回数を極めて多くする結果を招来した。本校は県下工業高等学校の基幹校として、各種の事務局を抱えているため、日々の事務量は膨大なものとなっている。協力体制の在り方については、今回のように新たな委員会を設置するのも一方法であるが、既存の組織を充実させることもまた重要である。本研究推進において、校内体制、家庭・地域との協力体制の在り方がより強く認識され、教職員のさまざまな意見が交錯するなかで、生徒指導をより効果的なものとする方策を模索し続けた。生徒及び保護者には、あらゆる機会をとらえて高等学校生徒指導研究推進指定校であることを伝達し意識と行動を喚起した。

入学式には学校長式辞の中で、PTA総会時には学校長あいさつの中で、また修学旅行に関する第二学年保護者会並びに結団式では団長あいさつの中で、それぞれ指定校生としての品位と態度を整えるよう要請し、保護者の協力をも求めた。この生徒指導研究推進校の指定は、全教師に課題意識をもたせ、教師間の協力による実践へとかりたてた。「教師の変容なくして生徒の変容なし」といわれる。教師の側に意識と行動の面で多くの変容がみられたことは本研究推進における最大の成果であったといえる。教師一人一人が組織の一員であることを自覚し、解決への強い熱意をもち続け、役割を確実に実行すること以外に、生徒指導を効果的なものとする方策はないのではなかろうか。今後の課題は、波及効果をあげるべくさらに実践を継続すること、成果を本校の中にいかに長く根づかせるかの二点にある。

今後の取り組み計画としては、各研究委員会の内容の一部を、既存の組織である校務分掌の中に取り入れ、定着を図ることである。生徒指導研究推進校の指定を機会に、教師自らが力量を高めつつ、永遠の課題である生徒指導に、焦らず諦めず実践を継続していきたいと思う。

お母さんたちの給水サービスを受ける(校内マラソン大会)

お母さんたちの給水サービスを受ける(校内マラソン大会)

 

「養護学校の生徒指導」は二十九ページより掲載

 

 

 


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