教育福島0121号(1987年(S62)06月)-030page

[検索] [目次] [PDF] [前] [次]

れてきたかどうかについて、家庭と協力しながら児童生徒一人一人の実態を把握することが大切である。

2) 児童生徒の心を理解する

心身に障害をもつ児童生徒は、生育の過程や環境などの要因によって、現実に対する認識が狭く、不安感をもったり、自己中心的であったり、行動や表現が情動的であったりする者が少なくない。児童生徒の心理を的確に理解するように努めることが大切である。

3) 児童生徒一人一人の障害の実態や発達の程度を把握する

児童生徒一人一人の障害の種類や程度について、その実態を明らかにするとともに、発達の程度についても把握することが大切である。また、学校生活において必要な事柄について、「何がどこまでできるか」を十分把握することが大切である。

4) 集団の実態の把握

盲・聾・養護学校においては、少人数の学級集団であることから、特に所属する集団からの影響を強く受けやすい。集団の実態について把握すると同時に、望ましい集団のあり方について十分研究し、創意工夫する必要がある。

(三) 生徒指導を効果的に進めるための方策

学校において、生徒指導を効果的に進めるためには、

1) 生徒指導体制の確立

2) 児童生徒の理解の研究と徹底

3) わかる授業の展開

4) 学級経営、教育相談、地域及び関係諸機関との連携

5) 生徒指導のための教師の研修などが大切である。

 

三、生徒指導と教育課程との関連

 

(一) 教育課程と生徒指導

教育課程は、法令に従い各教科、道徳、特別活動及び養護・訓練の四領域について、それらの目標を達成するように、教育内容を学年に応じ、授業時数との関連において総合的に組織した学校の教育計画である。

生徒指導は、教育課程実施の過程で機能し、児童生徒の自己実現を援助していく教育活動である。

(二) 各教科と生徒指導

各教科を指導するに当たり、教師は、教科の目標や内容を的確に児童生徒一人一人の能力・適正に即した指導をし、理解させ、望ましい資質を伸ばし、好ましくない面を是正していくよう配慮することが大切である。

学業不振や不適応、学習意欲の欠如などの児童生徒の指導に当たっては、その原因を調べ、適切に対処することにより学習の効率を高めるような配慮や指導は、いずれも生徒指導の重要な役割である。

また、教科の目標や内容のうちにも生徒指導のねらいとするものが含まれている場合も多く、教科の学習活動の展開の中にも生徒指導の機会が見いだされる。

(三) 道徳教育と生徒指導

学校における道徳教育は、児童生徒一人一人が人間としてよりよく生きるために必要な道徳性を養うことをねらいとし、学校の全教育活動を通して指導することを基本としている。

日常生活指導の中で随時行われる道徳的な指導は、当面する生活上の問題を解決したり、改善したりすることに追われることが多い。学校における全教育活動を通して行われる道徳教育は、道徳の時間の指導の補充、深化、統合によって、一層効果のあるものとなる。

したがって、道徳の時間で指導した内容を、生徒指導に生かすことによってより発展させ、実践活動へと促進させることが必要である。

(四) 特別活動と生徒指導

特別活動の特質は、実践的な集団活動を通して心身の調和的発達を図り、個性を伸張し、集団の一員としての自覚を深め、協力してより良い生活を築こうとする自主的・実践的態度の育成を図るところにある。

学校における生徒指導も、児童生徒の心身の障害の状態や発達の程度に応じ、あらゆる教育活動を通して行われる必要がある。その意味で特別活動の様々な教育活動は、生徒指導における基本的生活習慣の育成にとって、重要な指導の機会である。特に学級指導における日常の生活指導や祝日・学校行事・長期休業日などの事前・事後指導、日常の清掃、環境の美化などについての指導などが相互に関連して行われることが多い。

(五) 養護・訓練と生徒指導

養護・訓練は、一人一人の児童生徒の心身の障害の状態を改善・克服しようとする意欲をもたせ、自主的・主体的に生活していくために、必要な知識、技能、態度及び習慣を養い、もって心身の調和的発達の基盤を培うものである。その内容としては、特に不適応もしくは問題行動の発生予防の観点からも、障害の状態に対応した感覚機能の向上、運動機能の向上、意思の伝達の向上などを図りながら、対人関係、家庭状況等の環境条件の調整を進め、心身の不適応を改善して障害を克服しようとする意欲を高めるという点で、学校における生徒指導の内容と密接な関係がある。

(六) 各教科、道徳、特別活動、養護・訓練の諸領域以外における生徒指導

各教科、道徳、特別活動、養護・訓練の領域の外に教育課程を展開していくために、大切な生徒指導の機能がある。例えば、休憩時間、清掃、週番等の指導、登下校を含む校外生活の指導、問題行動をもつ児童生徒の指導、長期休業中の生徒指導等の指導などがある。これらの生徒指導も児童生徒の人間形成上重要なものである。

 

 

 


[検索] [目次] [PDF] [前] [次]

掲載情報の著作権は情報提供者及び福島県教育委員会に帰属します。