教育福島0121号(1987年(S62)06月)-032page

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は、具体的な生徒指導上の問題を取り上げ、その指導の過程を通して共通理解を図るようにすることが大切である。

1) 全教職員による共通理解の場を設定した例

C校では、新学期を迎えると、まず、児童生徒を理解するために、家庭との連絡を十分とることから始め、続いて前担任の所見を参考にして、一人一人の児童・生徒について綿密な資料を作成し、児童生徒理解のための校内研修を数回行い、さらに学部会・学年会での話し合いを深め、全教職員の共通理解を図るようにしている。

2) 指導体制づくりに全教職員が参加する雰囲気を作った例

生徒指導部では右記の研修会の実施と併せて、一年間の児童生徒の問題行動について、月別、種類別、頻度別に集計した結果を全教師に配布し、以後の生徒指導のあり方を含めて、全教職員に問いかけるような形で提示した。それによると九、十月に問題行動に起因する指導が急激に多くなってきていることに職員の関心は集まり、なぜ九、十月に問題行動が多くなってくるのか、個々のケースについて検討を加えた結果、問題を誘発させた時期は、夏季休業中であるということがわかった。そこで四月以来の指導記録を分析し、夏季休業中の指導の空白が四月から指導してきた習慣形成の中断になること、生活のリズムの異常があること、人間関係の問題があることなど種々の原因が挙げられた。この中から長期休業が生徒指導上いろいろな問題をもっていることが話し合いの中で理解された。二学期の問題行動を減少させ、一学期に形成された生活習慣を崩させないようにするには、どうしたらよいかを共通の課題とした。この解決のために、

ア 夏季休業中の生徒指導について、学校の基本方針をふまえ各学部、各学年で具体的に計画し、生徒指導部で調整し、学校として一貫性のあるものにする

イ 事前指導を徹底し、児童生徒に長期休業中の計画や課題をはっきりさせ、目的をもって生活が送れるようにする。

ウ 休業中の児童生徒の生活の実態や動静をつかむよう工夫する。

エ 保護者会を開き、家庭の協力を得るようにする。などの点をもとに生徒指導部が夏季休業中の生徒指導の計画を立案し、各学部、各学年は、その計画により具体的に指導することができた。

(二) 協力体制の確立

生徒指導においては、全教職員の共通理解に基づく協力体制が大切である。全教職員は、それぞれの持ち味を生かして自分の立場や役割に最善を尽しながらも、自分が学校の一員であるという自覚を持ち、教職員相互の連帯と緊密な協力を大切にする必要がある。そのための協力体制を確立する方法としては、様々なことが考えられるが、その主なものを欠にあげる。

1) 学部、学年学級担任間の連携をより密にするため、学部経営計画などを整備する。

2) 全教職員が生徒指導の充実のために、同一歩調をとって協力しあうよう、共通理解の機会の場を確保する。

3) 児童生徒一人一人を互いによく理解するよう、情報交換の工夫を図り、計画的に進める。

4) 生徒指導は児童生徒理解から始まるといわれる。そのために、学部会、学年会の協力を図るための研修会、情報交換などを行いながら全校的な体制が図れるようにする。

5) 各家庭、施設等との連携を密にし情報の収集に努める。

 

七、生徒指導の年間計画

 

生徒指導の効果をあげるためには、学校の教育計画のなかに、生徒指導に関する基本的な構想が明示されなければならない。それは、生徒指導の各分野の具体的な指導計画を総合した全体計画と、各分野別計画からなり、これをうけて、学部、学年、学級ごとに具体的な実践計画を立てる必要がある。

(一) 生徒指導計画の作成手順

1) 児童生徒及び家庭、地域の実態把握を十分に行うこと。

ア 計画に当たっては、学校の教育目標をふまえて学年会、部会、職員会等で、児童生徒の実態、指導上の問題点などについて十分話し合う。その結果を生徒指導部がまとめ、計画に反映するようにする。

イ 必要に応じ、父母、児童生徒を対象とした実態や意識調査を行う。

ウ 学校の教育目標、指導方針、重点目標、指導組織、運営方法、地域及び関係機関との連携等の確認や問題点について十分な検討を加える。

2) 生徒指導の全体計画を作成する。

ア 右記1)の資料をもとにして、生徒指導の目標及び指導の実践目標を明確にする。

イ 生徒指導の実践目標をもとに、生徒指導の各分野ごとに具体的計画を立て、全体計画と各分野別計画相互の関連を考慮し調整する。

ウ 生徒指導の全体計画及び各分野別計画をもとに、学部、学年、学級の児童生徒の実態に応じて、具体的な実践計画を立てる。

 

 

 

 


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