教育福島0121号(1987年(S62)06月)-033page
特集〔2〕
学校事務〜学校経営の要として〜
教育庁総務課
はじめに
市町村立学校、県立学校あわせて約千二百名、これが本年四月一日組まれ内の公立小・中・高・養護教育諸学校に配置されている学校事務職員の総数です。
これらの方たちが日々取り組まれている仕事、それが一般に学校事務といわれているものです。
一口に学校事務といってもその内容は複雑かつ広範囲にわたっており、それを、小・中学校にあっては一名(配置されていない学校もある)、 高等学校、養護教育諸学校にあっても三・四名程度の少人数で処理しています。
近年、学校教育への社会の関心は極めて高くなってきており、学校の内外を問わず、学校教育の活生化が叫ばれています。
このような状況にあって、学校事務の果すべき役割も重要度を増してきており、旧態依然とした学校事務では、日々変化しつつある学校教育への適切な対応は困難なものとなってしまいます。今や、変化する社会環境における新たな学校教育に対応した新たな学校事務、新たな事務職員像が求められているといっても決っして過言ではありません。
そこで、以下においては、学校事務の現状と問題点を検討し、今後の学校事務のあるべき姿について考えてみることにします。
一、学校事務の役割
学校には数多くの様々な業務がありますが、学校の設置目的は言うまでもなく児童生徒の教育であり、したがってそこで中心となる業務は、児童生徒に対する様々な教授・指導活動ということになります。
一方、この教授・指導活動を円滑にし、学校教育を活発化させるためには、教授・指導活動の支援あるいは、その補完をする業務(例えば、教授用の物品の購入、生徒にかかわる各種証明書の発行等)が必要であり、また、教授・指導活動の場である学校施設の整備充実、及びその保全管理も極めて重要な業務といえます。その他、教授・指導活動との結びつきではやや離れたところに位置するものですが、教職員の給与等に関する業務や文書の収受・発送といった業務も、学校にはなくてはならないものです。以上の様な業務は、広い意味では教授・指導活動が効果的かつ効率的に実施されるための条件を整備するということであり、この中心としての役割を担うのが学校事務であるといえます。
学校においては教授・指導活動が優先的に考えられ、事務については補助的なもの、あるいは「わき役」的な業務ととらえられがちです。しかし、今述べたように、学校事務は学校教育の条件整備の中心であり、決して「わき役」的存在ではなく、学校教育活動の向上・発展のために重要な役割を果たすべきものと言えます。
二、学校事務の領域と内容
ここでは県立高等学校を例にとり、実際に事務室において処理されている主な業務を分類してみることにします。
(一) 生徒に関する事務
これは、教員が主として処理しているものですが、次のようなものについては、事務室において処理されている部分も相当あります。
1)入学者の選抜に関する事務(例えば、入学願書の受付など)
2)入学、卒業に関する事務
学校事務室の風景