教育福島0121号(1987年(S62)06月)-041page

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ろいろな究明のしかた、学説もあって簡単に言及できないが、本校では、東京学芸大学の下山則編「学習意欲の見方、導き方」をよりどころとして、表1のようにまとめた。

 

五、教育機器の活用にあたっての基本的な考え方

技術革新・高度情報化の時代にあって、教育現場で利用しうる機器・資料は急増し、その機能性や内容の豊富さには驚く程であるが、いかんせん、現場教師がそれに対応する機会や時間に乏しく、十分に活用されにくい状況にある。本校においては、教育機器の研究指定を受けたこの機会に、各種視聴覚機器が整備され、授業実践に大きな力となっている。

教育機器(視聴覚教材)は、一般的には目新しいものではなく、その特性や使用について研究は十分にしっくされているかの感がある。一方、本校においては、初歩から使い始めるに等しく、十分な習熟・活用に至っているとはいえない。今回の研究にあたって、参考資料として郡山市教育工学研究会編の「教育工学」第4集を主として用い、表2、のように、教育機器の特性・授業過程との関連をとらえ、次に述べるように教育機器の活用にあたっての基本的な考え方をとらえた。

(1) 現在ある機器等の操作に精通する。

(2) 本校の現有の教育機器の特性を研究し、情報提示機能・反応統制機能

 

表2 授業過程と教育機器の組み合わせ

表2 授業過程と教育機器の組み合わせ

評価機能を十分に考慮し、指導の中で有効に活用する。

(3) 教育機器の特性をふまえ、最適な教育機器の組み合わせや他の研究成果を謙虚に学び研究していく。

(4) 授業の効率化ばかりでなく、生徒の思考を大切にした教育機器の活用を図る。

(5) 生徒自らが教育機器を活用できるように授業を展開し、思考や理解をより確かなものにし、教師と生徒、生徒と生徒のコミュニケーションの不足が解消されるようにする。

(6) 教育機器にふりまわされないようにし、教育機器をあくまでも教科の目標達成の手段、方法と考える。

 

六、公開授業の概要

理科の授業においては、テープレコーダー・VTR・教材提示装置等の特性を生かし、学習の動機づけを図るとともに、聴覚や視覚を通し、興味、関心を高めるだけでなく、思考過程での援助や学習効果の定着を図るように効果的に活用した授業が公開された。

音楽の授業においては、教材提示装置を活用した。魔王のストーリーのある絵と、レーザーディスクによる演奏により、登場人物の表現、曲全体の雰囲気について聴きとらせる授業を公開した。

英語の授業においては、レーザーディスクを活用して、外国の文化や生活の様子を写し、場面の設定をした。直接、映像や生の音声にふれさせ、学習への意欲をもたせた効果的な授業を公開した。

 

七、研究の反省と結果の考察

二か年の指定研究を全職員一丸となって「やる気を育てる学習指導法の改善」を主題に日常の実践化をめざし、研究を推進してきた。中学校では、教科の違いで、共通理解がなかなか深めにくいが、本校では効率的な研究の進め方を工夫し、全職員が共通に受けとめ、多くの成果をあげることができた。最後に研究推進上の反省と結果の考察をあげると

○ 教育機器の活用のために、基本的な操作はもとより、その方法を教育機器の特質をふまえ研究実践された。

○ 教育機器を使っての教材提示は、生徒の思考活動を活発にさせるものであり、それに伴う教師の発問や提示の時期等の重要性が確認された。

○ 教育機器の感性的な面を生かしたことは、これまで単なる教材提示であったものが改善され、生徒の興味・関心を高め、思考や理解を積極的に深めるために効果的であった。

○ 授業分析の方法についてくふうし、観点を絞った協議がなされ、実践に生かされたことは成果といえる。

○ 教科の特質に応じた学習訓練の時期を早めに計画し、実践に生かされたことは成果といえる。

 

 

 


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