教育福島0121号(1987年(S62)06月)-043page

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表2 心身障害児の適応状況に関する調査項目

表2 心身障害児の適応状況に関する調査項目

 

図1 通常の学級に在節する心身症害児の(9)〜(37)における「〜している/できる/わかる」等と評価された割合

図2 通常の学級に在籍する心身障害児個人ごとの適応状況の評価

 

図2 通常の学級に在籍する心身障害児個人ごとの適応状況の評価

です。

です。

これをみると、二十六項目全てが、できる/わかる」等とされたにもかかわらず36)の学校生活、37)の学習とも適応していないとされた者がある一方、十五項目「できる/わかる」と評価されて36)・37)とも適応しているとされた者もいました。適応状況を把握する上で、9)〜34)以外にもおさえるべき事項があったとも考えられますが、これは記入者の心身障害や適応に対する認識の相違が反映された結果と思われます。

 

6、まとめ

心身障害児の障害状況は多様であり、加えて、今回の資料からもうかがえるように、適応についての理解も様々です。もとより、適応の問題は心身障害児の側だけに視点をおいてみることはできません。これらの点を踏まえ、通常の学級に在籍する心身障害児の適応について、次にまとめてみます。

学校生活面で適応していくためには、身辺処理ができ、対人関係に問題がなく、周囲の子どもたちがその子どもを認めたり、援助する体制ができていることが必要のようです。

学習面では、精神薄弱児や精神障害児の場合、通常の学級での一斉指導が困難な者が多く、個別指導、小集団での指導、特殊学級での指導が必要であるという担任からの所見が多くみられました。これらの子どもたちに対して、その能力不全の状態に応じた就学指導を進める必要があると考えられます。

視覚障害児、聴覚障害児へ病弱・身体虚弱児、肢体不自由児等では、個別指導を必要とする者もありましたが、学習能力を持っていると評価しながら、このままでよいかとの将来への不安や障害への戸惑いを述べる所見がみられました。これらについては、全ての障害に言えることですが、精神的・身体的不全(impairment)のみを考えるのでなく、どうすれば環境が改善され、周囲の理解が深まり、ハンディキャップが軽減されるのか、そのことによって、諸活動の制限がどこまで解消されるのかという点から、通常の学級での心身障害児の適応の問題を考えていく必要があると思われます。

 

 

 


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