教育福島0124号(1987年(S62)09月)-041page

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教育ひとくちメモ

 

文化関係用語の解説

 

文化財の保護

 

文化課

 

◇文化財の保護

文化財は、祖先が長い歴史の中でつくり出し、守り伝えてきたものである。

この貴重な歴史的遺産は、我が国の歴史と文化を正しく理解するうえで、欠くことのできないものであり、また、文化を振興するための基礎となるものである。

近年における開発の進展や近代化の波に押され、文化財保護の面において種々問題が生じているところであるが、地域住民の間にも文化財に対する理解と認識が深まりつつあり、施策面の充実とあいまって文化財の保護と活用に成果がでている。

我が国の文化財保護行政は明治初期より制度的な整備が図られ、昭和二十五年に従前の法制度を拡充整備する形で現在の文化財保護法が制定された。

法制定施行後四十年近くが過ぎ、この間時代の要請に応じて必要な法改正が行われ、その内容の充実が図られた。

 

◇文化財の種類

文化財保護法では、「文化財」を次のように定義づけている。

●有形文化財

有形の文化的所産で歴史上または芸術上価値の高いもの並びに考古資料及びその他の学術上価値の高い歴史資料。

社寺、城郭、住宅などの建造物や絵画、彫刻、工芸品、書籍等美術工芸品。

●無形文化財

無形の文化的所産で歴史上または芸術上価値の高いもの。

歌舞伎、文楽、邦楽などの芸能や陶芸、漆芸、染織などの工芸技術。

●民俗文化財

衣食住、生業、信仰、年中行事等に関する風俗習慣、民俗芸能を無形民俗文化財と称する。これらに用いられる衣服、器具等を有形民俗文化財と称する。

●記 念物

貝塚、古墳、都城跡、城跡、旧宅等の遺跡で歴史上、学術上価値の高いもの(史跡)。庭園、峡谷、海浜山岳等の名勝地で芸術上、鑑賞上価値の高いもの(名勝)。動物、植物、地質鉱物で学術上価値の高いもの(天然記念物)。

●伝統的建造物群

宿場町、城下町等周囲の環境と一体をなして歴史的風致を形成している伝統的な建造物群で価値の高いもの。

 

◇文化財の保護制度

文部大臣は、文化財のうち重要なものを文化財保護審議会に諮問し、その答申を受けて重要文化財等に指定または選定をして保護を図っている。

県および各市町村においてもそれぞれ文化財保護条例を制定し、その地域内の重要な文化財を指定して保護している。

有形文化財で指定を受けたものを重要文化財といい、さりに価値の高いもので、たぐいない国民の宝であるものを国宝に指定する。また一無形文化財、民俗文化財、記念物のうち重要なものをそれぞれ重要無形文化財、重要有形民俗文化財または重要無形民俗文化財・史跡・名勝・天然記念物に指定し、史跡・名勝・天然記念物のうちさらに重要なものを特別史跡・名勝・天然記念物に指定する。

市町村が都市計画法あるいは条例に基づき定めた伝統的建造物群保存地区のうち、その価値が特に高いものを重要伝統的建造物群保存地区に選定する。

指定を受けた文化財の現状を変更したり、保存に影響を及ぼす行為については許可が必要であるなど保護を図る一方で、所有者や管理団体が行う文化財の修理や防災施設の設置等に対しては補助を行う等文化財の保存を図るとともに公開を行ったりその活用に努めている。

文化財保護法では、土地に埋蔵されている文化財(埋蔵文化財)についても保護をしている。

 

福島県における国・県・市町村指定文化財種別一覧   昭和62年7月31日現在(単位:件)

〔注〕市町村指定文化財については61年5月1日現在の件数

〔注〕市町村指定文化財については61年5月1日現在の件数

 

 

 


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