教育福島0125号(1987年(S62)10月)-008page

[検索] [目次] [PDF] [前] [次]

特集1

生涯教育の展開

 

成人の学習と児童、生徒とのかかわり

社会教育課

 

はじめに

 

成人期は、社会的に独立し、家庭をつくり、職業に打ち込み、地域社会における役割を担うなど、あらゆる生活場面で、自己の能力と経験を生かして人間としての責任を果たしていく時期です。いわば、人生における活動期であり、盛花期であるということができます。

今日のように変動の激しい社会にあって充実した成人期を送るためには、絶えず学習を続けることが必要です。職業生活はもとより、日々の生活をよりょく生きるためには、新しい知識や技術を身につけ、そのことから人間性を回復し教養や情操を深めながら自己実現を図ることが大切です。

さらに、この時期には子どもの将来、経済や政治など世の中の動き、家庭や地域における人間関係、健康や老後のことなど、−仕事に直接かかわることのほかにも、年齢や立場に応じて気がかりなことが増え、それらについての学習も必要となってきます。

また、成人期も後半になると、多くの人は社会において指導的役割を果た・すようになります。この立場にふさわしい人格や力量は、それまでの学習や経験の積み重ねによって備わってくるものです。

向老の時期には、近づく高齢期に備えて新しい生きがいをつくりだす豊かな学習が必要です。・

このように、成人期は生涯において最も充実した学習が求められる時期であり、その資質や能力を伸ばし、主体的に成長や発達をしていくためには、何らかの方法で常に学習を続けていかなければなりません。

 

一、成人期の学習機会の必要性

 

(一) 生涯にわたる学習機会の必要性

これからの社会を充実感を持って生きていくためには、例えば、困難に立ち向かう強い意志、問題の解決に積極的に取り組む知的探究心、主体的に目標を定め必要な情報を適切に選択活用する能力、自己を抑制し他人を尊重しつつ円満な人間関係を維持していくことのできる資質など、変化に対応しうる能力や意欲が必要です。

特に、成人期は生涯の中で最も長い時期を占め、一般的には家庭を持ち、社会的に独立し産業の中心的担い手として自己の選択した職業に打ち込み、地域社会における指導的役割を果たすなど、あらゆる場面で自己の能力と経験を生かす最も充実した社会生活を送る時期でもあります。

こうした特性を踏まえ、とかく仕事中心、家庭中心になりやすい現状にありながらも、それを改善けるために

(ア) 教養を高め、情操を深めること。

(イ) 政治や経済など世の中の変化を知り、国家や社会に対する関心を深めること。

(ウ) 国際的な知識や感覚を養うこと。円成人後期については、趣味を深めるなど、余暇の活用法と生きがいの創造を学び、近づく高齢期に備えること。など、社会の変化に対応し、より豊かな社会を生みだし得る様々な学習機会の確保が必要です。

 

(二) 成人学習者の特性と学習機会

成人の学習は、あくまでも本人の個人的な意志に基づいて行われるものです。したがって、学習をするかしないかは個人の自由です。

また、学習者の年齢、職業、学歴、目的などが極めて多様であり、かつ、学習者の時間的・地理的制約の問題の他、学習内容では職業上の問題解決に関する学習に関心が高いという傾向があります。

学習機会については、市町村教育委員会や公民館が開催する家庭教育に関する学級・講座、青少年育成活動、PTA指導者研修、・各種スポーツ活動の他、PTAなど成人団体が行う学習活動や企業内において行われる教育活動、さらにはカルチャーセンター等の民間企業が行う学習事業や社会通信教育などの個人学習の機会が数多く用意されています。

婦人に対しては、婦人の社会参加が進むなかで、職業を持つ婦人が育児や家事と職業生活を両立させるための学

 

 

 


[検索] [目次] [PDF] [前] [次]

掲載情報の著作権は情報提供者及び福島県教育委員会に帰属します。