教育福島0125号(1987年(S62)10月)-009page

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習や再就職準備のための学習などが課題であり、このため、婦人学級・講座、婦人ボランティア講座、職業生活準備セミナー、婦人問題講座、婦人指導者の養成など各種の事業が実施されています。

その他、家庭教育講座、大学開放講座、高等学校開放講座などを実施するなど、多くの学習機会が用意されています。

 

二、成人の学習の現状と課題

 

県生涯教育推進本部が昭和六十一年八月に県内に居住する就業者を対象に「成人期の生涯学習に関する意識調査」を実施しました。

その結果、次のようなことがわかりました。

 

(一) 調査から見る現状

(ア) 男女とも家族の触れ合いや教養・趣味・スポーツなど主に個人的な生活や学習活動の中で生きがいを感じていること。

(イ) 学習機会は、行政機関主催のものや職場の研修会・学習会など仕事に関係するものが多いこと。

(ウ) 学習活動の内容は、体力づくりなどスポーツ活動が一番多く、教養を身につける学習、職業生活に関する知識・技術の獲得、ボランティア活動については男子の学習者が多いこと。

また、音楽・美術などの芸術活動、生活に必要な知識の学習や文化活動、趣味的な学習では女子の参加が多いこと。

(エ) 学習活動に取り組んでいる理由は、自分の趣味・特技を生かす、教養を深める、健康で文化的な家庭づくりなど個人の内面の充実や個人的生活の向上を目指す傾向があること。

(オ) 学習や活動の場所については、地域の公民館が中心となっていること。

(カ) 学習や活動に参加する時、事業の開設時期や場所、指導者の問題、多忙で参加できないなどの悩みをもっていること。

(キ) 学習や活動に最も参加しやすいのは、日曜日、土曜日などの休日で、これらの日を希望する人が多く、時間帯では夜間希望が多いこと。

(ク) これからの学習や活動の希望については、家庭生活に関する学習を中心に教養を深めるもの、職業生活に関するもの、スポーツ活動など個人学習型が多いこと。上のように今後は、青少年健全育成に関するものやボランティア活動に関する講座・学級など、地域とのかかわりを持つような学習や活動が必要となってくるものと思われます。

 

(二) 成人の学習の課題

(ア) 家庭は社会の基礎単位であり、家族が共同してつくりあげる家庭のあり方や子どもの自立性、社会 性をはぐくむ家庭教育のあり方を学ぶ必要がある。

(イ) 家庭の教育機能の確立を図るため、親、特に父親が家庭生活のあり方や家庭教育について学習する必要がある。

(ウ) 職業的能力の開発と向上に努めるとともに、職業を通じて自己の生きがいを見いだし、心の豊かさを養う一方、退職後の生き方などを模索する自発的学習活動を行うことのできる条件整備が企業内教育や現職教育との関連の中で推進される必要がある。

(エ) 青少年の健全育成、地域文化の伝承、奉仕活動、環境美化活動など地域社会活動に積極的に参加し、住民相互の連帯のもとに推進する必要がある。

(オ) 地域の連帯意識が薄れている今日、個人的自覚に基づいた連帯意識の形成者として、温かい人間関係をはぐくみ、活力ある地域社会づくりを進める必要がある。

 

三、成人期の学習機会の拡充

 

(一) 学習活動の活性化

成人の学習の形態は、成人期の前期(およそ二十五歳から三十五歳)及び中期(およそ三十六歳から五十歳一ぐらいまでは主に個人学習が多く、成人後期(およそ五十一歳から)から高齢前期(およそ六十四歳まで)になると地域とのかかわりに関心を持つようになり、集合型学習に参加を希望する傾向があります。

そのため、人々がライフサイクルの変化に応じて自主的に学習活動ができるような援助が必要です。

(1) 成人一般に対する学習方策

(ア) 家庭教育をはじめ成人期の学習課題について、学級・講座の開設を促進し、その内容の充実を図ること。

(イ) 学級や講座の開設については、その時期、曜日、時間など人々の二ーズを十分把握すること。

(ウ) 集合型学習が困難な場合は、郵送その他による「届ける学習」の開発を促進すること。

(エ) テレビなど放送や視聴覚機器利用による学習方法の開発を促進すること。

(オ) 青少年健全育成や退職後の地域生活準備のための、地域参加事業の開発や小集団学習グループの育成を図ること。

(2) 婦人に対する学習方策

(ア) 再就職の準備のための学習を促進すること。

(イ) 共働き家庭のための家庭教育講座や社会通信教育の開設を促進すること。

 

 

 


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