教育福島0125号(1987年(S62)10月)-021page

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てきた。

(4) 中学校訪問

アンケート調査のなかで、中学校訪問の問題も指摘されていたが、各校の訪問予定を明らかにし、今後の参考に供すると共に、中・高連携カード等の検討を行った。

(5) 原町地区中・高生活指導連絡協議会の充実

協議会は年三回開催され、指導資料を持ち寄っての情報交換が主な内容であったが、アンケートの結果、会議内容がわからないとする教師が多かった。また、授業参観や研究協議、部活動や生産的活動を協議題にとの意見も多かったので、今後指定研究の実践的内容はこの協議会が継続的に進めることになるものと思われる。

(6) 地域との連携

地域社会が催す行事や運動に積極的に参加し、六十一年度の原町市交通安全市民大会では相馬農業高校が「優良交通安全学校」として表彰されている。

アンケートの結果、生徒の育成は学校の指導だけでは困難で、不適応防止については学校、家庭、地域社会の連携が必要であり、特に、家庭教育の強化が指摘された。また、地域との連携では、類似的会議が多く形式化しているので実質的な中・高のPTAの合同会議や補導委員会の連携強化が必要であるとの考えに立って、その実現が図られようとしている。

こうした動きを受け、アンケートの分析から二つの実践項目が決定された。「喫煙防止」と「自転車のマナー」の問題である。当地区がかかえる問題はさまざまであるが、中・高が連携し、地域ぐるみで取り組まねばならない緊急の課題であるとの認識からである。前記のごとく関係諸機関・諸団体に協力を依頼するとともに、対象地域に一万枚のチラシを配った。

3 進路指導部会

教師の生徒に対する意識のアンケートによれば、将来構想を持たない生徒が多く、さらに、進路に対する意識・関心の薄さを加えると七十パーセントに達している。また、生徒の意識調査でも高校でやりたいことは、高校生活を楽しみたいとするものが六、七十。パーセントに達している。このことは、生徒の将来に対する目的意識や自律性の弱さを示していると思われる。また、高校の学校紹介でよく分からなかったものも五十パーセントであった。目的意識と正しい職業観を養うために、中・高の情報交換や研修会、体験入学を実施することとした。

(1) 地域の高校卒業後の進路調査とその研修

昭和六十二年三月卒業した高校生の進路を普通(原高一、農業(相馬一、商業(小高商一{工業(原町工・小高二一を対象に、大学・専修学校入学、就職に分け具体的に進路状況を調査した。

(2) 体験入学

昭和六十一年度は相馬農業高校で、中学生百九十名、保護者十二名、教師十五名が参加し、農業、園芸、食品加工、家政各科の実験実習の体験があり、相馬農業高校飯舘分校では、中学生七十一名、教師二名が参加し、農業科、家政科の実験実習の体験があった。六十二年度も実施されている。

(3) 学校紹介の工夫と改善

中学校の要請による、生徒、父兄に対する高校説明会で、生徒の半数が分かりにくかったという反省から、スライドやビデオ、先輩を囲んでの座談会、広報紙の改善等の工夫を行っている。

(4) 相双地区中・高校長連絡協議会

年二回開催し、前期は主として生徒指導について、後期は進路指導について研究発表や連絡調整が行われている。

特に高校推薦入学については、中学校長会が進路対策部を中心に学校間学力の研究調整が進められ、その趣旨達成に大きな役割を果たしている。

 

おわりに

 

中・高連携推進事業は今、緒についたばかりであり、生涯教育の立場からも今後継続的に進められるものであるが、これらの事業・研修から中・高間の隔たりがなくなり、教師間の信頼が強固なものになり、共同研究が進められている。既設の地区中・高学校長連絡協議会や地区中・高生活指導連絡協議会の外、地域の中・高教師による数学、英語等の教科研究会も結成され、さらに、教育関係諸機関・諸団体の連携を深め、PTAや保護委員会の共同補導等の気運を高めている。

学習指導部会の教育課程の中・高一貫性を図る事業や、生徒指導部会の中・高生徒の健全育成、そして、進路指導部会の目的意識の高揚と職業観の育成等についての事業はこれらの組織やその連携を深めることにより、さらに着実に深められるものと思う。

保護者と生徒との対話は、中・高ともに五十パーセントはよく話され、四十パーセントは機会があれば対話が行われている。このことは、地域社会や家庭が比較的健全であることを示しているが、さらに、家庭、学校、地域社会の連携を深め、健全な青少年の育成に努力を重ねていきたい。

 

公開授業の1コマ

公開授業の1コマ

 

 

 


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