教育福島0125号(1987年(S62)10月)-032page

[検索] [目次] [PDF] [前] [次]

て、また、先進国として憧れていたアメリカに到着しようとしている。

 

て、また、先進国として憧れていたアメリカに到着しようとしている。

胸の高まりを抑えきれず、やや興奮気味で飛行機のタラッフを降りた。入国手続きが予想していたよりあっさりしていたことに拍子抜けを覚えながら、サンフランシスコ市内観光へと向った。

ダウンタウンから出発し、サンフランシスコ湾と市街を一望できるツイン・ピークスで雄大な眺めを満喫し、その後人工公園としては世界一の広さを誇るゴールデン・ゲート・パークを訪れた。

この公園は、博物館や植物園、屋外劇場、日本庭園など良いものをすべて集めた欲張りでしかも豪華な公園である。また、馬に乗ったパークレインジャーも気楽に写真撮影に応じてくれ、開放的でいかにもアメリカ的な感じを抱かせてくれる。そして、いよいよ壮観なゴールデン・ゲート・ブリッジ。機能だけでなく、風景にマッチした設計で、非常に美しい。

翌日、アメリカ三大国立公園の一つヨセミテへ向う。映画「卒業」で馴染みのベイ・ブリッジを渡り、フリーウェイに入る。このベイ・ブリッジは、全長十三・ニキロメートルで四車線の二階建てである。サンフランシスコからオークランド方面は一階で帰りは二階を通るようになっている。何とこの橋が昭和十年に完成したということを聞き、驚くことしきりであった。そして、ベイ・ブリッジを渡ったフリーウェイは、ギネスブックに載っているそうであるが、片側十九車線でとても道路とは思えない広さである。フリーウェイは、普通片側四車線で、時速百キロメートルで数時間もハンドルを動かす必要がないというほど地平線に向って一直線に伸びている。フリーウェイはすべてコンクリートでできている。理由は大型トレーラーの通行が多く、アスファルトではすぐだめになるからだそうだ。トレーラーも十トントラックのようなものに二・三台の貨物車を連結したものであるからそれも想像で.きる。普通車でも片側に四つのドアのあるリムジンが走っているのには驚いた。フリーウェイの両側には、面積が三千ヘクタールもある農園が広がる。

カルフォルニアは全米の農産物の二分の一を生産し、輸送は貨物列車にたより、その貨車は百両以上にもなる。

いよいよヨセミテ国立公園であるが、面積は、東京都の約一・五倍もあり、渓谷と滝とが造り出す景観は言葉に表すことができない。中でもエルキャピタンと呼ばれる花筒岩でできた千百メートルの大絶壁は見事である。.また、松ぼっくりも最大のもので直径一・二メートルということからもすべてが大きいことが想像できる。

この後、ロスアンゼルスとハワイを観光し、十日間のアメリカの旅を満喫した。

旅行後の感想を一言でいうなら、アメリカは想像以上に大きく、自由の国である。生徒に旅行の話をすると、どんな講話よりも熱心に生き生きとした目で聞く。やはり、教師自身が見聞を広めることが大切であると実感させられた。

また、アメリカでの運転免許は、自分の車で路上を十分程乗るだけで容易に取得できる。その割に交通事故が少ないのは、道路などがきちんと整備されているからだと思われる。

このことは、教育にも参考になる。つまり、生徒に基礎、基本的なことを確実に身につけさせた上で、自由に興味・関心のあることを伸び伸びとやれる環境を与えてやることが大切である。それが、生徒一人一人の個性を伸長させることになり、これからの社会をたくましく生きて行くのに必要な資質を得ることにつながる。また機会をみつけて外国へ行き、見聞を広めたいと考えている。

(塙町立塙中学校教諭)

 

表紙写真について

ナツエビネ(ラン科)

本県産でエビネと名のつくのは、エビネ(通称ジェビネ)とこのナツエビネだけのようである。エビネは春に咲き、ナツエビネは文字どおり八月に薄紫色の花をつける。

(撮影地・柳津町)

 

ミヤマアズマギク(キク科)

亜高山帯の草地などに自生する。関東地方に多く自生するので名づけられたアズマギクの高山型。

茎葉に軟毛が密生しているので、山にガスがかかるとこの写真のように細かな水滴がつく。

(撮影地・飯豊山)

 

イワタバコ(イワタバユ科)

渓流の日当たりの良くない岩壁に自生する。岩に着いていて葉タバコのような大きな葉なので名づけられた。葉を食用にすると、ほろ苦いが珍味。

(撮影地・飯舘村)

 

 

 


[検索] [目次] [PDF] [前] [次]

掲載情報の著作権は情報提供者及び福島県教育委員会に帰属します。