教育福島0125号(1987年(S62)10月)-047page

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五、実践の累積と実証授業の考察

 

平一小・三小・五小・六小・郷ケ丘小・豊間小・赤井小・綴小・大野一小において検証授業を実践、個と集団とのみがき合いに向けて改善を試み、累積を図った。結果として次の点が明らかとなった。(バスケットボール中心)

 

(一) レディネスの状況から「A」である児童は、課題把握が的確にできるので「ひとり学習」の充実に期待できる。

特に、バスケットボールのようなゲーム学習におけるレディネスの把握では、リーダーシップや協調性などの人間性や人間関係にも留意しなければならないこと。

(二) レディネスの程度が低く「C」の状況の児童の場合、個別指導から入り、レディネスを高める手だてを考慮したり、人間関係を重視した「ペア学習」が有効であること。

(三) チームのレディネスが「A」であっても、チームを編成する児童の特性を考えれば、チームのめあてのほかに、個人ごとの目標を立てさせて、ひとり学習を強く成立させることにも留意する必要があることや個々の高まりはチームの高まりでもあること。

また、別にチーム内の者同士に限らず、同じめあてを持ったグループ同士の交流も有効で、チーム同士がみがき合う姿も見られたこと。

(四) 自己教育力の構想のように、個と集団、個と個、集団と集団という学習形態の生かし方の工夫も必要であること。

以上のことから、いわき市立赤井小学校第五学年の児童を通して、実証授業を行い、さらに研究を推進した。

 

六、実証授業のまとめ

 

実証授業をするに当たっては、児童の実態分析をし、実態分析の結果から考察したグルーピングを行い、実証授業を組織した。

○実証授業への考察

児童のレディネスから、本時の学習課題に対しては、一人一人が意欲を持っている。そこで、その意欲をより高める意味からも、やや高度なパスワークのVTRを視聴させ導入とした。このときの学習形態は、 「ひとり学習」とした。

● 集団学習については、各チームの練習の場面で取り入れたが、一人一人の目標がチームのめあてにもつながるよう配慮するため、チーム内の話し合いや活動の時間を設定した。

● チームごとの発想や工夫を認めてやり、個人の自己教育力の高揚やチーム全体(集団)の教育力の高まりにも留意した。

● ゲームの実施に関しては、できるだけ多くの児童がボールに触れることができるようにし、運動の楽しさも味わえるように配慮した。

下欄に実証授業の一部分をあげる。

 

(実証授業の一部分)本時のねらい「いろいろなパスのし方を身につけ、それを生かしてゲームをする」

七、研究の成果と課題

 

七、研究の成果と課題

 

自己教育力を高めるレディネスとグルーピングの関連を次のようにとらえることができた。

○ 技能的レディネスの差が大きい場合は、特に児童の人間性を重視してグルーピングする。

○ 技術的レディネスに差のあるグループ編成をする場合、活動に「ひとり学習」を必ず取り入れる。

○ グループ全体のレディネスが高い場合、他のグループとの合同練習なども効果的である。

今後も自己教育能力を育てるために、児童の人間性・人間関係・形成的評価と、学習のステップなどについて研究を推進していく考えである。

 

実践研究後のグループ研修

実践研究後のグループ研修

 

 

 

 


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