教育福島0125号(1987年(S62)10月)-051page

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学校で、心が洗われる思いである。

三、全員参加の授業

「わかる授業」、「全員参加の授業」をテーマに教師の研究意欲も高く、生徒とのやりとりの中で理解度を確かめながら魅力ある授業を実践している。また、小規模校ならではの利点を生かして個別指導の徹底を図っている。

専門学校等の進学者は数少ないが、それらの指導は埣啄の妙を得て、充実感のあふれる一コマである。情報化社会の進む中で、主体的学習の習慣化を図ろうと、機会をとらえ指導している。学校裁量の時間の使い方もユニークで年二回、村内の道路清掃の奉仕作業を実施し、これも十年近く続いており、評判がよい。また、外部講師(保健婦)による「思春期の過ごし方」と題しての講話は、現代の若者に迫る内容でなかなか好評である。その他、生徒と教師が共に汗を流しての草花の栽培や大掃除等、勤労体験学習も重要な柱になっている。

四、楽しい生徒会行事

生徒会行事の最大の特徴は、球技大会や芋煮会等での教師参加がフルにセットされていることである。体育祭と称しての運動会は最も楽しい行事であり、二、三日の話題に事欠かない程盛上がる。

これら楽しい行事で蓄えたエネルギーが知的水準を上げることに費やされる日の来ることを期待しながら魅力ある学校づくりを目指していきたい。

 

働きながら

窯業を学ぶ

県立会津工業高校本郷分校

 

本校は、陶磁器で知られる大沼郡本郷町にある。この町は十六世紀に会津藩主蒲生氏郷によって開かれてから、代々の藩主が殖産政策の一つとして重視して以来窯業のさかんな町として栄えてきた。この歴史的背景の中で、昭和二十六年に会津第二高等学校本郷分校として開校、昭和四十三年四月に現在の独立校舎をもち、翌年会津工業高等学校本郷分校と改称された窯業科だけの夜間定時制高等学校である。

現在、生徒総数六十六名(女子十」名)で出身中学校は十八校を数える。すべての生徒が町の企業・窯元に勤務しており、朝八時から午後四時までの勤めを終え、黄昏色迫る時刻より授業が始まる。

分校の教育目標に”勤労学生に希望と勇気を与え個性豊かな人間形成に努める〃o学習意欲の向上 o基本的生活習慣の確立 とある。この目標達成のために、先生方は生徒一人一人をどのように指導すべきかについて研究しており、正しいことばづかい、礼儀などについてもきびしく指導を行っている。

授業内容は、普通教科はもちろんのこと専門教科である窯業の学習に力をそそいでいる。全生徒は卒業までに、手ろくろ成形、仕上げ、粕、焼成実習、製品展示、デスカツションと厳しく苦しい学習が続くが、自分自身の作品が形となってできあがることへの驚きと喜びは、何ものにもまさる魅力となってこれまでの苦労を忘れさせてくれる。

また、本校にはETAという組織がある。これは企業と学校との連携を密にし、生徒の就学を可能にするためのもので、生徒は入学決定と同時にそれぞれの企業を紹介され、勤務場所を決定する。以後、生徒は研修生として企業で働き、学校で学ぶという教育の原点を追求することになる。雨の日、風の日、ことに吹雪の日など厳しい日もあるが、四年間一日も休まず通学し皆勤賞を受けて卒業する生徒もいる。

毎年行われる定通体育大会にむけての練習は夜の十時すぎまで行い、少人数でも他校に負けまいとがんばっている。今年は県大会で好成績をあげた卓球、軟式テニス、剣道が八月の全国大会に出場し、活躍した。また、有名な本郷町のせと市ですばらしい生徒作品の展示即売も行われ、大きな反響をよんでいる。

現在、定時制高等学校は大きな曲がり角に来ているといわれるなかで、本校は陶芸教室の開催を含めて、地域に根ざした生涯教育という新しい視点を加え、ますます重要な役割を担いつつある。

 

地区内道路の清掃奉仕作業をする生徒たち

地区内道路の清掃奉仕作業をする生徒たち

 

創作の喜びが何よりの励みに

創作の喜びが何よりの励みに

 

 

 


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