教育福島0126号(1987年(S62)11月)-006page
提言
心眼
福島県養護教育センター所長
松浦淳一
【筆者紹介】
松浦淳一・まつうらじゅんいち
昭和六年 福島県伊達郡霊山町に生まれる
昭和二十九年 福島大学学芸学部(国語科)卒業
昭和二十九年以降、福島県立富岡高等学校、同保原高等学校、同須賀川第二高等学校で、教諭、教頭として勤務。
また、福島県教育研究所、同教育センター、同教育庁総務課、同高等学校教育課、同養護教育課で、指導主事、係長、管理主事、主任管理主事、主幹として勤務。
昭和六十一年 福島県養護教育センター所長に就任、現在に至る
昨年四月に開設された養護教育センターも、皆さんの御理解と御協力のもとに事業を始めてから、はや一年半余の月日がたとうとしている。
この間、「正しい判断。速やかな対応。温かい配慮」の三点を運営目標に掲げ、全所員一体となって業務を推進してきたが、おかげさまで各事業とも順調に進展し、教育相談などは、開設前の予想を、はるかに上回る相談件数が寄せられている現況である。このことは、とりもなおさず、心身障害児を抱えておられる家族の方々の悩みや苦しみが、いかに大きいかということの証左でもあり、いっそう心を引き締めて、運営の充実を図らなければならないと考えている。
ところで、養護教育に携わる教師が陥りやすい欠点として、「障害が見えて、子どもが見えない」ということが言われている。これは、現象面に心を奪われて、本来の目的を見失ってしまう弊害を指摘したものと思うが、更に、忖度(そんたく)すれば、教育の本質を忘れてはいけないという戒めの意味も含まれているとみてよいだろう。
しかし、こういったことは、案外他の教育分野にも内在しているのではないだろうか。
例えば、生徒指導についていうならば、「問題行動が見えて、子どもが見えない」という場合がありはしないか。著名カンセラーが説くように、非行もまた子どもの生きようとする願いの一つの