教育福島0126号(1987年(S62)11月)-010page
人間的なふれあいを深め、生き生きとした活動が展開されるよう、実践活動をとおした体験の場を意図的に設けることが必要である。児童は、体験的な活動をとおして人間と人間、人間と自然のかかわりを体得したり、感得したりするものである。
4) 環境づくり
豊かな心を持ち、自主的に実践できる児童を育てるためには、地域社会との連携による望ましい環境づくりが大切である。
(3) 実践例
1) 基本的生活習慣の形成
児童の生活目標として「田島小のよい子」十項目(略)を作り、家庭と連携して基本的生活習慣の育成に努めてきた。その中でも、履物そろえ、清掃、あいさつ、けじめのある生活に重点をおいた。
また、児童会委員長会では、生活目標の発表と反省、あいさつ運動を行い実践を進めた。
2) 児童の望ましい行いの奨励と賞揚
人間の生き方としてなくてはならない思いやりの心を育てるため、委員長会で学校中に思いやりの花を咲かせようと呼びかけ、「花さき山運動」を実施した。
各種委員会では、標語の募集により道徳的行為の奨励を行った。また、精一杯努力している児童を全校朝会で賞揚したり、通信簿(通心簿)を改善し、長所を賞揚して意欲をもたせるようにした。
3) 体験的な活動による体得と感得
人間と人間、人間と自然とのかかわりを体験を通して体得・感得させるため、学校行事では、「運動会」、「宿泊訓練」、「子ども祭り」、あたごの時間(創意一では、児童会主催による「町内美化活動」、「七夕集会活動」、「校内球技大会」、PTA行事では、親子磐梯登山(六学年夏休み一等に、善行の奨励と賞揚の場を意図的・計画的に設定した。
4) 環境づくり
道徳教育をする上で、うるおいのある充実した生活ができる雰囲気づくりは大切である。
人的環境づくりとしては、一人一人の児童が、自己の存在を自覚し、自己実現できるような学級づくりに心がけてきた。また、教科指導においては、誤答を大切にする雰囲気づくりに努力してきた。
物的環境づくりとしては、自然を愛し、美しいものに感動する心を育てるために、学校園、学年園での花の栽培や、一人一鉢運動を実施してきた。また、道徳的行為の記録がわかるように、掲示板の活用も工夫してきた。
(三) 連携研究部の実践
子どもにとって、家庭は道徳性を培う基本的な場といえる。
道徳教育を進めるに当たっては、家庭との連携を図っていくことで、より効果をあげることができるが、そのためには、家庭における教育力を高めることが極めて重要である。
そこで、本校では「学校・家庭連携推進会議」を組織し、家庭への働きかけを工夫したり、家庭からの要望や意見に耳を傾けたりしながら、実践活動のあり方をさぐってきた。
(1) 学校・家庭連携推進会議
保護者(十人)教師(五人)町民(八人)で構成し、学期一回会議を開催し、子育てのあり方や連携の進め方について意見を交換してきた。
(2) 家庭回覧ノート「やまびこ」
テーマを設け、学級ごとに保護者の意見や家庭での道徳的実践例などを書いて回覧し、相互理解に役立てている。
なお、「テーマにはあまりこだわらなくてもよいこと」、「無記名でもよいこと」、「身近な子どものできごとから」などと、保護者が気軽に書けるようにしてきた。
(3) 道徳授業の公開
「学校では道徳の時間にどんなことを教えているのだろう」また、「子どもは、親切ということについてどんな考え方をしているのだろう」など、道徳の時間の指導を理解してもらうために、まず、道徳の授業を見てもらおうということで、本年度二回実施した。保護者は、子どもたちの話し合いを聞きながら、ものの見方や感じ方の多様性に改めて気づいたようである。また、道徳の時間を「価値のおしつけ」という誤った考え方から、「自分たちの生き方を振り返る時間である」というとらえ方ができるようになってきた。
(4) 「わが家の子育て目標」「道徳教育の標語」の達成度調査
1) わが家の子育て目標
一年次に全家庭対象に「わが家の子育て目標」について調査した結果、およそ十項目に分類することができた。その目標に向かってそれぞれの家庭がどのような具体策で日ごろ子どもと接してきたかを二年次に調査した。
2) 道徳教育の標語
全家庭から「道徳教育の標語」を募集したところ、九百三十九編(実
心豊かな子どもは、望ましい教育環境から育つ