教育福島0126号(1987年(S62)11月)-011page
家庭数三百七十)が寄せられ、どの標語も子どものよりよい成長への願いがこめられていて、すばらしいものばかりであった。この中から「児童向け」「家庭向け」にそれぞれ十二編を選び、各家庭に配布した。
六、成果と今後の課題
(一) 研究の成果
家庭との連携を図りながら、テーマに近づくために、三つの研究部に分かれて実践を積んできたが、児童の落ち着いてきた生活態度を見るとき、次のような成果をあげることができる。
(1) 日常生活をとおして児童を奨励したり、賞揚したりすることによって児童は、心の満足と自信を得てきた。
(2) 授業をとおしてありのままの自分を見つめ、多様な価値に照らし、努力しなければならない自分に気づいていく姿勢が感じられ、素直な心が芽ばえてきた。
(3) 価値観の類型化、内省化を図ることによって、よりねらいに迫ることができ、豊かな心情、確かな判断力を育てる授業が展開できるようになってきた。
(4) 保護者は、連携の必要性を再認識するとともに、日常の具体的行動様式に関心が高まってきた。そのことによって、一人一人の実践できる力が養われてきた。
(二) 今後の課題
(1) 家庭との連携を積極的に進め、日常生活におけるさまざまな問題に自分から気づき、解決していこうとする態度を養っていきたい。
(2) 児童の立場にたった価値観の類型化について、さらに研究を深めたい。
(3) 「田島小のよい子」の具現化に努め、道徳的行為の一層の習慣化を図っていきたい。
学校・家庭の連携を密にした 人間性豊かな生徒を育てる道徳教育
−望ましい生活習慣を自ら実践てきる生徒の育成−
伊達町立伊達中学校
本校は昭和六十一・六十二年度の二か年間、文部省より道徳教育研究の指定を受け、特に学校・家庭の連携を密にした道徳教育の推進について研究を進めてきた。
一、研究主題設定の理由
(一) 学校教育目標具現の立場から
本校は「一、豊かな心を育てる。二、たくましさを育てる。三、生きた学力をつける」を教育目標とし、人間性豊かな心身ともに調和と統一のとれた健全な生徒の育成をめざしている。
この目標具現のためには、人格陶冶をめざす道徳教育の充実が必須の条件であり、本校教育の課題である。
(二) 生徒・家庭・地域の実態の今日的課題から、
本校でもごく一部の生徒とはいえ、問題行動が見られる。また、問題行動のない生徒でも、自己中心的で他を思いやる心に欠けたり、社会生活における基本的行動様式が身についていない生徒が多いのが実態である。
このような生徒を望ましい姿にまで高めることは、学校教育の課題であるとともに、家庭や地域の教育力の回復に待つところが大きい。これまでは、学校が家庭や地域との連携の必要性を認めながらも、ややもすると学習指導や進路、生徒指導上の問題が連携の中心であり、人間の生き方にかかわる道徳的実践等に触れることはきわめて少なかった。したがって、道徳教育の充実を図るためには日常生活の道徳的実践の場である家庭・地域との連携を図ることは緊急の課題である。
二、研究推進の基本的構想
(一) 本校教育目標具現化の観点から道徳教育のあり方について検討し、具体的な実践計画のもとに全職員が一体となり研究推進に当たることを基盤とする。
(二) 学校と家庭、地域との連携をより密にし、学校における道徳教育を家庭教育の中に浸透させるよう、家庭への広報やPTA活動をとおし意欲的に働きかける。特に、保護者に道徳の時間の授業参観や家庭教育等についての講演会を実施し、道徳教育の認識を高める。
(三) 道徳教育について再検討し、道徳教育全体計画、年間指導計画の改善と道徳の時間の指導法の向上を図るための研修を行う。
(四) 生徒指導との関連を図り、学校生活における基本的な生活習慣の定着を図る。特に、「あいさつ」と「けじめのある生活」を重点実践事項とし、日常生活の中で徹底するよう努める。
(五) 特別活動等における道徳教育では、生徒会の専門部を中心とした活動を活発化し、その指導の中で好ましい人間関係を促進させ、道徳的実践の場となるよう配慮する。
三、研究の概要
「学校・家庭の連携」という視点から、「望ましい生活習慣を自ら実践できる生徒を育成する」ために、次の事項の研究・実践を進めてきた。
(一) 道徳教育全体計画の改善
全体計画を検討するに当たっては、詩に指定の趣旨を考慮し、家庭との連携を計画の中で明確にするとともに、地域や家庭の願望等にも配慮して立案した。主な改善点は次のとおりである。
(1) 生徒や地域の実態を見直し、より実態に即したものにした。
(2) 指導の重点を設定し、特に家庭、地域との連携事項を明らかにした。
(3) 他領域との関連を踏まえ、より実践につながる計画にした。