教育福島0126号(1987年(S62)11月)-016page
ほしい。
○自己の財産は自己で守る。そのための方法、考え方等は、今まであまり考えなかったことであり、良かった。
○大変参考となるが、具体的な事例の説明があればもっと良いと思う。
三、今後のあり方
(一) アンケート調査の結果から
アンケート調査の結果をみますと、参加者からは全体的には良い評価を得ているものの、細部になると改善すべき点も多いといえます。とくに、会場数の増加は今後の課題と考えております。
また希望する講座内容をみますと、今年度設定した生きがい(人生論・心構え)、健康管理、年金制度、資産運用の四つに対する要望が強く、講座内容と組合員の希望とが一致していると一応評価ができると思います。しかし、この四つのもの以外への希望もかなり強いことから、今後は前記の四つを基本内容としつつもそれ以外の何を追加していくか、ということも重要な課題となってくると思われます。
(二) 今後のあり方
ライフサイクルプラン講座は「はじめに」でその趣旨を述べたように、高齢化社会の進展に伴い長期化する人生を見つめ直し、自己の生活設計を企画していくための機会を提供しようとするものですが、退職後健やかで豊かな人生を送るためには何をなすべきかを考えてもらおうとするものです。
同趣旨のものとして、国・地方公共団体・民間企業が最近実施するようになったものに「退職準備プログラム」があります。
その概要を以下に紹介します。
(1) 退職準備プログラムの必要性(公務員の場合、以下同じ)
1) 公務員の生活は、身分保障という点では比較的安定していることもあり、退職直前まで退職後の生活設計に取り組まない場合が多いため、職員に退職に係る問題意識を持たせ職員自らが進んで退職準備に取り組む契機となるよう退職準備プログラムを実施する必要がある。
2) 退職後の生活に対する不安を除去し、これにより退職を控えた職員の士気・公務能率を維持・向上させるため、退職準備プログラムを実施する必要がある。
3) 退職後は、仕事中心の生活から地域社会、家庭を中心とした生活に移行する等大きな変化が生ずることから、これに必要な知識及び情報の提供により、職員が退職後の生活に順調に移行できるようにするため、退職準備プログラムを実施する必要がある。
(2) 退職準備プログラムの意義
退職準備プログラムは、職員に対し、退職後の生活設計に必要な知識・情報、相互啓発の機会等を提供し、あるいは適切なアドバイスを与えることによって、退職に対する問題意識及び今後の生活展望を持たせるものである。それにより、退職に関る不安を除去し、退職前の生活を充実したものとして、職員の士気及び公務能率を維持・向上させるとともに、職員が退職後の生活に順調に移行できるようにし、職員が退職後も引き続いて地域社会のために活動できるようにするものである。
(3) 退職準備プログラムの内容
1) 退職を迎えるに当たっての心構え
○生活環境の変化
・退職後の生活の充実
・退職後の社会的、経済的状態の認識
・家庭、地域社会における人間関係への対応
・配偶者、子とのコミュニケーション
○再就職先での対応
2) 退職後の経済問題
○退職手当制度
○共済年金制度
○退職後の収支計画と資産運用
○税制度
3) 退職後の職業問題
4) 退職後の健康問題
○保険医療制度
○健康管理
5) その他
○地域社会への関り
○余暇活動
○法律問題
(財団法人「自治研修協会退職準備プログラムに関する報告書」より)
このようにみてくると、ライフサイクルプラン講座の内容は、ほとんどこの退職準備プログラムの内容と合致しています。今後のあり方としては、ライフサイクルプラン講座そのものの充実を図るとともに、それを退職準備プログラムという大きな枠の中で把握しその位置づけを明確にする。そしてその他の諸施策と関連させながら全体としての充実を図るということが必要になってくると思われます。
このように考えてくると、ライフサイクルプラン講座の性格・実施方法等が具体的に問題となります。現在の講座は退職を間近に控えた教職員を対象として、自己の退職後の生活設計を見直す契機とするという面が強く出ておりますが、今後はもっと若い四十代の教職員を対象として、早期に生涯生活設計に取り組むための知識・情報を提供する、さちに退職直前の時期にもう一度退職後の生活設計に必要な知識・情報を提供する、という形での開催も考えられ、このような見直しが今後の