教育福島0126号(1987年(S62)11月)-033page
て文化財に指定する旨の答申を行い、本年三月二十八日付で新たに指定した文化財は十六件、附指定一件となっている。
新たに県指定文化財として指定した文化財については、本誌「教育福島」の各月号でその内容をカラー写真を添えて紹介している。
三、文化財基礎調査(山岳信仰調査)
文化財の保護と指定推進の資料とするため、文化財基礎調査を年次計画を立てて実施している。
昭和六十一年度からは山岳信仰調査を三年継続事業で実施しており、昭和六十一年度と六十二年度については悉皆調査、二次調査を実施、昭和六十三年度には、これらの調査結果を報告書としてまとめ発刊する予定である。本調査は、山岳信仰に焦点を当てて消滅の危機にある遺品とその習俗について調査し、所在確認と記録保存を図ろうとするものである。
四、民俗文化財調査(田植踊調査)
田植踊は東北地方にだけ流布している豊作祈願の民俗芸能である。ことに福島県内には古風な原型と思われるものから、かなり芸能化した華やかなものまで多彩に分布している。これらは田植踊の伝播や変遷を知る上できわめて高い学術的価値をもっている。
しかし、この踊は小正月(一月十四〜十五日)に各戸をめぐって演じられてきたものだけに、近年の生活の合理化や正月の期間の短縮によって演じる機会を失い、廃絶の危機に直面しているものが多い。
本調査は、昭和六十二年度より二年継続で実施するものである。
五、中世城館跡調査
昭和六十年度より三年継続事業として実施してきた本調査は、今年度においては補足調査を行うとともに、調査結果について報告書をとりまとめるべく現在作業を進めている。
丘陵地に立地する中世の城館跡等は近年の開発ブームの下に破壊が懸念されている。
本調査は、これら中世の城館跡等についてその位置、規模、遺構の残存状況及び周辺の歴史的状況について調査し、記録保存を図るものである。
六、国指定文化財(要録)の作成
昭和五十八年度より三年継続事業で作成した『県指定文化財要録』は六十一年春に発刊した。本要録については、印刷部数に限りがあるため、購入希望に応えて市販本を作成した。現在県内の各書店で販売されている。
更に現在は、国指定文化財の指定内容を集録、解説した「国指定文化財要録」の作成を進めており、昭和六十三年度において発刊する予定である。
七、文化財保護指導者講習会
文化財の保護について指導的立場にある関係者を対象として、文化財に関する専門的事項について講習会を開催した。
○期日 昭和六十二年七月三十日〜三十一日
○場所 福島県立博物館
○講義及び講師
「福島県の漆工」
福島県文化財保護審議会委員 高瀬喜左衛門
「会津の絵画について」
会津若松市文化財調査委員 坂井正喜
「民俗芸能とその演出法」
国立劇場演出室 主任専門委員 西角井正大
「会津地方の天然記念物」
田島町教育長 五十嵐徳三
「福島県立博物館の展示について」
県立博物館 主任専門学芸員兼学芸課長鈴木啓
「文化財の保護について」
県教育庁文化課課長補佐 菊田謙一郎
「関和久遺跡と古代東北」
東北歴史資料館副館長兼多賀城跡 調査研究所長 桑原滋郎
○現地研修
県立博物館若松城天守閣郷土博物館
八、福島県民俗芸能大会
民俗芸能に対する一般の理解と認識を深めるため、価値の高いものを公開し記録保存を図る。
今年度は十一月二十二日相馬市民センターにおいて第三十六回大会を開催する予定である。
埋蔵文化財の現況
一、重要遺跡基本資料整備事業
遺跡周知事業で確認された遺跡のなかから重要遺跡をとりあげ、保護のため基本的な資料を整備する。
本年度は、県北・県中地区を対象に、五十五遺跡の立地・発掘調査等の成果を示す航空写真や記録類を収集し、整備する。
二、指定文化財管理事業
一般には文化財パトロール事業と呼ばれ、二十一名の福島県文化財保護指導委員が五百五十か所を年二回巡視し