教育福島0126号(1987年(S62)11月)-040page

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研究実践

 

レポート

 

〔1〕学級会活動

 

いわき市立好間第二小学校教諭 草野周子

 

〔2〕英語の学習指導法

 

県立相馬高等学校教諭 鈴木顕三

 

自発的、自治的な芽生えを育てる低学年学級会係の活動

 

いわき市立好間第二小事校

 

一、研究の動機とねらい

学級会活動は、児童が自分たちの学級生活の向上発展を図るための学級集団による自発的・自治的な実践活動である。その指導に当たっては「低学年から集団の意識を高めることに重点をおいて」と小学校指導書(特別活動編)に示されている。

低学年の児童は、入学までに集団的な活動はしてきていても、自己中心的な言動が多く見られ、仲間意識が低い。

そこで、自発的、自治的な芽を育て、学級集団としての意識を高めるために児童自身の手によって進められる活動として、学級会の係活動に視点を当てて研究を進めることにした。

まず児童が、自分たちで楽しく学級生活をおくるために、みんなで学級生活に必要な係を作り、分担して活動する過程で、集団活動の喜びや楽しさをできるだけ多く体験させることが、自発的、自治的な芽生えを育てることになると考え標記の研究主題を設定した。

 

二、研究の仮説と計画

(一) 仮説

学級生活を楽しく豊かなものにするためには、学級会係の活動を児童の創意工夫を生かして計画させ、一人一人が活動できる場を設定すれば、児童は進んで活動し、自発的、自治的な活動の芽生えを育てることができる。

(二) 研究計画

(1) 学級経営と学級会活動の関連を明らかにする。

(2) 当番活動と学級会の係の活動との差異をおさえる。

(3) 児童の意識調査をもとに、お手伝い的活動から、学級会の係活動へと組織を作る。

(4) 学級会の係活動と指導の実際を活動の過程で研究する。

 

三、研究の実際

(一) 学級経営と学級会活動の関連

学級経営の基盤は教師と児童との信頼関係にある。この信頼関係は、あらゆる教育の場で育てていかなければならないことであるが、学級経営に当たっては信頼感を育てるため、児童の毎日の生活をよく見つめ、児童の話したいことをじっくりと聞くことにしている。

どの児童も楽しく、気軽に本当のことを話せる温かい雰囲気があってこそ本質に迫る学級会活動が成立する。

(二) 当番活動と学級会の係活動の差異

当番活動は、教師と児童相互の学級経営上の必要から組織され、学級の児童全員に意図的に平等に分担させ、教師の指導のもとに行わせる活動である。活動内容は、管理的、実務的な仕事で、決められた通りに活動するいわば奉仕的な活動である。

一方、学級会の係活動は、児童の必要感から生まれ、児童自身が話し合って係組織を作り、みんなで分担して、自治的な範囲をこえないような教師の指導助言のもとに、創意工夫を生かして自発的、自治的に行う実践活動である。児童の話し合いで活動内容を変えても学校や学級生活に支障をきたさないものを係活動ととらえたい。したがって、教師は両者に本質的に違いがあることをおさえて指導に当たる必要がある。そこで、次のような表(表1一を児童に示したが、低学年なりに当番活動と係の活動の違いが意識されたようである。

 

表1 学級生活の中の仕事の分担

 

学級生活の中で

1) 自分でやらなければならない仕事

くつ箱、かさ立て、ロッカー、机などの使い方と整とん

2) みんなで交替してやる仕事

給食当番、日直当番、清掃当番

3) 係を作って友だちとやる仕事

学級がよくなるために、自分の好きなこと、得意なこと、楽しくなることを、すすんで工夫してやる。

 

(三) 児童の意識調査をもとに、お手伝い的活動から、学級会の係活動へと組織を作る。

(1) 児童から出された係

 

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・ものまね ・ほん

 

 

 


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