教育福島0126号(1987年(S62)11月)-042page
く、怠けているように見える生徒も、その内面では学習のことを最も悩んでいることが判明した。このため本校英語科では「早朝助け合い学習」を試みたつ六十一年度はこれを工夫・改善し、グループ学習という形で授業の中に取り入れ、研究実践を試みた。
一、研究の視点
本校は入学段階においてすでに生徒間の学力差が大きく、また、基礎学力の定着していない者が多い。入学後も基礎学力が定着せずに学習意欲を失いつつある生徒が少なくない。このため高校初期の段階で授業の中にグループ学習を効果的に取り入れてはどうかと考え、次の仮説を設定した。
(一) 一斉・グループ・個別指導の相乗効果
一斉指導と個別指導の間にグループ学習の形態を取り入れることにより、基礎学力の定着をより深めることができるであろう。
(二) 言語活動の活性化
グループ学習を、生徒ができるだけ英語を用いて進めるよう配慮することにより、言語への関心を高め、言語活動の活性化を図ることができるであろう。
(三) 学習意欲の喚起
グループ学習を通して、生徒同士がお互いに教え教えられることにより、自己の存在感や他人に貢献することの喜びを味わわせ、学習意欲の喚起を図ることができるであろう。
二、研究の概略
グループ学習を授業の中に取り入れる研究を、相馬女子高等学校と本校の二校合同で行った。二校による合同会議では、グループ学習の問題点や実践例などを話し合い、またお互いに研究授業を持ったが、当初は試行錯誤の連続であった。本校では、普通科一年生の二クラスの授業の中に計画的にグループ学習を取り入れてみた。次にその実践例を紹介する。なお、本校普通科は英語コース(一クラス)、普通コース(三クラス)に分れており、前述の二クラスは普通コースのクラスである。普通コースには基礎学力が定着していない生徒が多い。ちなみに県高等学校教育研究会英語部会による「新入生英語学力診断テスト」の平均点は三十六・八点である。
三、実践例
(一) グループ学習の主な配慮
グループ学習をいろいろと試みた後、その反省を踏まえて次の事項を定めて研究を推進した。
1) グループの編成は三〜四名とする。五〜六名の場合は雑談や傍観的な生徒が現われ、二〜三名の場合は課題解決に窮することが多い。
2) グループのリーダーは順番制にする。リーダーを固定すると、リーダー以外はあまり主体的に参加しなくなることが予想される。
3) グループ学習の時間を十分程度とする。グループの集中力を考慮すると妥当と思われる。
資料1 授業案
学年 1学年
テキスト The Senior English One Lesson 8,“People Should Be lnternationalized”
配当時間 12時間(本時5時間日)
(1)I think that〜の否定形について習熟させる。
(2)代名詞としてのneitherにういて習熟させる。
(3)日本人の親切、不親切さについて考えさせる。
資料 予習プリント、テープ、フラッシュカード、課題プリント
指導過程