教育福島0126号(1987年(S62)11月)-043page
4) グループ学習の内容は誰もが習得しなければならない基本的学習事項とし、教材の内容や一時間の授業の流れの中で適切と思われる場合に、グループ学習を取り入れる。
なお、授業を進めるに当たって次のことを行っている。
(ア) 予習プリントの配付
(イ) 予習(宿題)の義務づけ
(ウ) レディネステストの実施…新しい課に入る前に、その課の基本的学習事項を生徒がどの程度習得しているかを調査し、その課の指導計画の立案に資する。
(エ) 単元テストの実施…各課の既習事項の定着を調べるためのものであるが、この中にレディネステストと同一の問題を散りばめてあり、学習前と学習後の変容も把握する。
(二) 授業の実践例
1) 授業案の概略(資料1参照)
2) 授業の分析
授業直後にその授業についての調査をしたところ、出席者四十一名のうち三十九名が「グループでの取り組みは良かった」と回答し、また、「グループでの取り組みは悪かった」と二名が回答した。また授業内容について「よく分かった」が七名、「だいたい分かった」が二十九名、「あまり分からない」が五名、「ほとんど分からない」は無しであった。また、次時の初めに予告なしに十点満点の復習テストを実施した結果、平均点が五・三点であった。予想平均点を下回っていた。このことから、グループ学習はともすれば生徒が「分かった」ような感じになるだけで、実際にはそれほど分かっていない結果にもなりかねない一面を持っている。」とを知らされた。
3) 学習前と学習後の変容(資料2参照)全体的に見て、レディネステスト時点(学習前)と単元テスト時点(学習後)には好ましい変容がみられる。しかし、なかにはレディネステストより単元テストの方が悪い者もおり、また、問題別に見ると、レディネステストで正答であったのに単元テストで誤答という生徒もいた、
四、研究の成果と今後の課題
(一) 一斉・グループ・個別指導の効果が現われたこと。
中学校の英語の教科書から主要なポイントを精選し、当該の二クラスに六月と二月にテストを実施した。その結果が資料3である。基礎学力は向上したと判断できる。しかし、この伸びがさらに早期に得られるようにする必要がある。
(二) 言語活動活性化の芽が生まれたこと
グループ学習で生徒ができるだけ英語を使用するようにと、クラスルーム・イングリッシュを作成した。生徒によっては、あるいはグループによってはこれを片言ながら英語でトライする積極性がみられるようになった。しかし、まだまだ不十分である。生徒の「話すこと」への意欲をさらに高めるように指導法やクラスルーム・イングリッシュの改善を図りたい。
(三) 学習意欲が喚起されたこと
グループ学習を計画的に取り入れたクラスに対するアンケート結果(資料4、5、6)からみると、徐々にその効果が現われてきたと判断できるが、
○グループの構成メンバーの組み合せの検討
○教材研究や指導案の研究を含めたグループ学習導入の場面・時間・方法等の改善
○英語指導助手とのチーム・ティーチングによるグループ学習の検討
などが今後に残された課題である。
資料2
レディネステストと単元テストの得点の個人別推移
レディネステストと単元テストを両方とも受験した者の変移
資料3 中学英語M.P.テスト結果の変移図
資料4 英語が好きですか
ア、はい イ、どちらともいえない ウ、いいえ
対象生 1.2組(6月85名、1月89名)
資料5 グループ学習を取り入れて授業をしていますが、これについてどう思いますか。
ア、これからも続けてほしい イ、あまりやってほしくない
資料6 一斉授業に比べてグループ学習の時の意欲はどうですか。
ア、グループ学習の方が意欲が湧く イ、かわらない ウ、一斉学習の方が意欲がわく