教育福島0127号(1987年(S62)12月)-011page
あり、具体的には次のような活動や配慮をしている。
○自分たちで練り上げた結果を、問題場面にあてはめて考えてみる、
○新しい場面にまとめた考えや技能を生かしてみる。
○計算をより早く、確実にできるようにする。
○成功感、成就感を味わわせ、学習への意欲を高める。
5) その他
(ア) 学習の手引き
下敷き用に「算数の勉強のしかた」を印刷し、全児童の手元に置かせて学び方を身につけさせるようにしている。
(イ) 反復練習の時間としての「朝自習」
・個別指導の機会
・計算技能の向上
・反復練習の場
四、成果と課題
(一) 成果
過去二年半にわたる研究において、自ら学習に取り組む態度面の育成について、実践を通して探ってきた。七月に実施した「算数科学習についての意識調査」から成果を考察してみたい。
(1) 「算数の勉強は楽しいですか」
児童の八十一パーセントが楽しいと答えており、高学年は昨年より五パーセント増えている。これらは研究の成果と受けとめられる。楽しいことの理由として
○ものを使って学習する
○難かしい問題が解ける
○できたりわかったりしたとき
○発表できたとき
など成功感、成就感を味わわせる授業の実践と結びつく反応が出ている。また、先生にほめられたという反応から教師の賞賛が大きな理由になっていることがわかる。
(2) 「算数の勉強を粘り強くやりますか」
六十七パーセントが粘り強く学習していると意識しており(昨年度六十三パーセント)変容が見られる。
なお、「分からない時はどうするか」には、友だちの意見をヒントにする(低学年)、本やノートを見て考える(中学年)、いろいろな考えで粘り強くやる(高学年)と、それぞれの学年で一番多い反応は、自分で考えようとする態度のあらわれである。一番目は、低・中学年では先生に聞く。高学年では教科書や参考書で調べる、となっている。次に友だちや先生に聞くとなっている。自ら問題に取り組み、追究しようとする態度は、少しずつであるが身についてきているものと受けとめられる。
(二) 課題
(1) 自分の考えを筋道だてて話したり話し合ったりする表現力の育成
(2) 基礎的・基本的事項を確実に習得させるため、教材の精選と重点化を図った指導計画の改善
(3) 既習事項や既習経験を生かして、いかに解決へ結びつく見通しを立てさせるかの工夫
(4) 一単位時間だけでなくより大きな流れの中で、四段階の指導過程をとり入れる工夫
(5) 自ら問題に取り組み追究する力の育成。
資料2 問題に取り組む「かぎ」と「目」
1、課題をとらえる視点
・条件(分かっているもの、求めるもの 式条件)をとらえる。
・いままでと同じところを見つける。
・いままでとちがうところに目をむける。
2 解決への「五つのかぎ」
・簡単な数や形に直してみる。
・既習の考え方をつかってみる。
・物を使ってみる。
・図や表に表してみる。
・数式やことばの式に書いてみる。
3 考える「三つの目」
・共通点を見つける目
・ちかいを見つける目
・よりよい考えを見つける目
※よりよい考え
↓
・簡単にできる。(能率的)
・いつでも使える。
・より広く使える。(一般的)
一人一人を生かす
教育課程の研究
−望ましい学習集団形戎を通して自己向上を図る−
郡山市立郡山第二中学校
一、主題設定の理由
学習指導要領の中で、一人一人の生徒の能力や適性に応じた指導が強調され、学習に遅れがちな生徒に対する配慮が大切であることが述べられている。現代の生徒は無関心、無気力、無感動な生徒が増加する傾向にあるといわれている。本校における実態調査の結果にもそのことがうかがわれる。
その原因の一端に学校や教師に責任があることを謙虚に反省し、問題点を洗い出し、すべての生徒にとって学校生活が楽しく、充実したものであることを願い、本主題を設定した。
二、研究のねらい
「一人一人を生かす」ということは自分自身が自己を生かすということと、周囲の人間が個を生かすという二つの意味をもつ。前者の場合は自分の能力や特性を発揮し、自分で「できた」「成し遂げた」という実感を自分自身の喜びとしてもつ状態であり、後者の場合