教育福島0127号(1987年(S62)12月)-044page

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わたしの研究実践

 

ここに掲げる二つの論文は、昭和六十一年度教職員研究論文に入選した論文です。

日常の教育活動の歩みの中から個人の研究テーマを設定し、児童・生徒の能力や適性が十分発揮できるよう着実な実践を続けた記録です。児童・生徒の実態に応じ、教師の創意をもとにして具体的な手だてを工夫した優れた論文です。

 

セルフ・イメージを高め、学習意欲を伸ばす指導

 

鮫川村立鮫川小学校

教諭 斎藤修一

(現・下郷町立南小学校教頭)

 

一、主題設定の理由

 

二十一世紀の未来社会に生きる児童を育てるための教育課題として強調されていることは、自己教育力の育成である。そのためには、小学校時代から自分を高めようとする意識を持たせることが大切であると考える。子どもが本来持っている無限の可能性を伸ばしてやることが教師としての任務である。

「自分にはできない」というセルフ・イメージ(自己像)を持っている子どもに学習意欲を要求しても難しい。

そこで、豊かな学級づくりの中で、自己を見つめ、意欲的に学習に取り組む子どもを育成することが大切であると考え、この主題を設定した。

 

二、研究の見通し

 

教師と子どもの信頼関係を根底に、相手からの期待を感じさせる場、自分の人間性の価値を自覚させる場、自我同一性を意識させる場を設定することによって、セルフ・イメージを高め、それに心づくり、人間関係づくり、学習づくり、生活づくりを有機的に関連させていけば、自己変革を促し、学習意欲が高まるであろう。

 

三、研究内容の概要

 

(一) セルフ・イメージを高める工夫

(1) 他者からの期待を感じさせる場

1) 学級通信で、どの子どもにも期待を抱き、本人のすばらしさや努力を認めることによって、親や教師の期待を常に感じられるようにする。

2) 名前に修飾語を

「社会の王様○○君」とその子どもの小さな努力や得意なところを認める。

3) 別れぎわに目と心を合わせて

一人一人の子どもと固く握手しながら「読書すごいね」と今日の努力を認める。そして「明日も」の意欲づけを図る。

4) 日記を通して一人一人に声を

信頼関係を結ぶ手段やその子どもの良さを認める場として有効である。返事を読む表情を見ると忙しいとは言えない。

5) 電話家庭訪問

「先生、夜電話よこしたでしよ」と笑顔で話す。子どものすばらしさを伝え、親の子どもへの期待の契機となればと願っている。

(2) 自分の人間性の価値を自覚させる場

1) どの子どもにも責任の場を

同じ子どもだけでなく、どの子どもも責任を果たせるよう援助し、その結果を大いに認める。

2) 各種大会をばねにして

校内、校外の大会を自分への挑戦と位置づけ、やればできるという体験から、自分の価値に気付かせる。

3) 自己試練の場「今を打ち破る計画」(資料1)

 

資料1 今を打ち破る計画

って意欲的な生活ができるようにと試みたものである。つまり、自己試練の場

 

今の自己の問題点を自ら見つけ、どう改善すべきかの目標を持って意欲的な生活ができるようにと試みたものである。つまり、自己試練の場

 

 

 


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