教育福島0127号(1987年(S62)12月)-055page

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味や関心を引き出し、その能力を最大限に伸ばすことができるようにと、全職員が力をあわせて取り組んでいる。

その一として、全校あげての体力づくりがある。小学部では、学級毎に学校周辺の道路を子どもの実態に応じ、歩行訓練やマラソンをしている。顔中汗だらけにして「今日は頑張ったなあ」などと教師と大声で話しながら階段を上ってくる。どの子も晴ればれとした明るい顔である。中学部はこのほかに全員が体育館で合同の体操をする。二人一組になって教師の号令に合わせ一、二、三、………と大きな声をかげながら指示を守り、全員が整然と元気よく目をかがやかせ生き生きと行っている、

次に、昼休みに子どもたちと教師が一緒になって全校一斉清掃を行っている。子どもたちは、毎日の学校生活のリズムをおぼえ身についてくると、その時間になれば自主的に自分の清掃場所に移動し清掃活動に取り組むようになっている。特に指示がなくても作業の手順や方法を覚え、時間内に終了できるようになってきている。一人一人が役割を分担し作業に取り組み、そこで自分の責任を果たす喜びを感じとっているようである。

また、学級園の手入れも子どもたちにとっては働きがいのある作業である畑おこしから収穫まで一連の作業体験をさせている。面積こそ狭いが、そのできばえはすばらしいものがあり、収穫した野菜を教師と共に調理している姿には、本当に満足感があふれている

このように本校では、学習内容を実生活に結びつけ、子どもたちと共に汗を流し、喜びをわかちあい共に伸びようと取り組んでいる。

 

きれいな花を咲かせようね(学級園の手入れ)

きれいな花を咲かせようね(学級園の手入れ)

 

行事を通して学ぶ

 

県立郡山養護学校

 

本校には、身体に障害があり、日常生活や学習面に支障をきたし、普通の小・中・高等学校で学習することが困難な児童・生徒が在籍している。学校の教育目標として「明るく、正しく、たくましく」を掲げ、障害の改善、克服に向けて、一人一人の障害の状態、発達段階、特性等に応じた指導により社会の一員として有為な人間の育成を目指している。

中でも「学校行事」では、少人数からくる種々の制約を解消し、活発な集団活動が展開できるように工夫をしている。「運動会」では個人・団体競技に熱戦が繰り広げられ、父兄や地域の方々と一体となり、楽しい秋の一日を過ごしている。移動能力記録会は、年二回、春と秋に実施している。定められた距離を車椅子や松葉杖等で移動する時間を測定するものであり、集団の中で競うと同時に、自己の記録への挑戦でもあり、ゴールに向かって精一杯努力する姿がみられる。ゴール後の満足感あふれる顔には、次の挑戦への意欲がうかがわれる。三年に一度開催する学校祭「四葉祭」は、学習発表、作品展示、特設コーナーなど創意あふれる活動が展開される。児童・生徒が教職員と共に企画・運営に当たり、自主的な態度の育成のよい機会となっている。修学旅行は、肢体不自由養護学校の児童・生徒にとっては、社会経験を広める絶好の機会である。小学部は松島方面、中学部は東京方面、高等部は関西方面への旅行であるが、それぞれに大きな期待を寄せ、生き生きと活動する行事でもある。修学旅行終了後の学習や生活にいろいろな成果をもたらしている。その他、スポーツ大会、映画教室、水泳教室、宿泊訓練、高等部美術展と多彩な行事が実施されている。

経験を広め、社会性を養い、好ましい人間関係を育て、楽しい学校づくり目指した行事のあり方について、今後も検討を重ね、改善してゆきたい。

 

いっしょうけんめいゴールを目ざす(移動能力記録会)

いっしょうけんめいゴールを目ざす(移動能力記録会)

 

 

 

 

 


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