教育福島0128号(1988年(S63)01月)-002page

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文化の窓

県立博物館企画展

「陸奥の古瓦」展

期日一月二十三日(土)〜三月二十一日(月)場所県立博物館

複弁大弁蓮華文軒丸瓦(白河市借宿廃寺出土)

複弁大弁蓮華文軒丸瓦(白河市借宿廃寺出土)

日本で最古の瓦は五八八年、蘇我馬子によって奈良県飛鳥の地に建立された飛鳥寺に用いられました。飛鳥寺は日本で初めての本格的な寺で、その屋根に葺かれた瓦はまさに大陸からもたらされた新たな文化のシンボルだったのです。飛鳥寺以後大和地方では次々に華やかな大寺院や宮殿が建立され、その軒先は様々な文様の瓦で飾られるようになりました。

やがて律令国家が全国に勢力を伸ばすに従い、関東地方や東北地方にも様々な地方からの影響を受けた瓦が普及しました。律令国家は新たな地域を支配するにあたって、一方では役所をつくって新しい制度を実行にうつし、他方では大陸に由来する最新の文化を人々に示しました。従って瓦の系譜や時期、分布などによって律令国家による支配とそれにともなう新たな文化がどのように浸透していったかを知ることができるのです。

本県内には朝鮮半島に栄えた新羅にその祖形を持つと言われる華やかな唐草文を意匠とする瓦や、百済系とされるシンプルな蓮華文、大唐様式と言われる奈良の都で使われた複弁蓮華文、さらには陸奥の国府多賀城で使われた重弁蓮華文など様々な美しい文様を持つ瓦の存在が知られています。

企画展「陸奥の古瓦」では本県に分布する様々な古瓦を一堂に集め、大和地方や関東地方、東北各地の瓦と比較することによって、それぞれの文様の系譜を明らかにしていきたいと考えています。また、瓦によって象徴される古代律令国家が本県内にいかに浸透したのか、その状況をも示していきたいと思います。

尚、中央フロアには古代の役所や寺の大棟を飾った中国の伝説上の鳥である鳳風をかたどった鳩尾と鬼瓦を展示し、古代の息吹を演出する予定です。

多賀城正庁の複元模型

多賀城正庁の複元模型

単弁八弁蓮華文軒丸瓦(宮城県多賀城市多賀城跡出土)

単弁八弁蓮華文軒丸瓦(宮城県多賀城市多賀城跡出土)


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