教育福島0129号(1988年(S63)02月)-007page

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いる。そしてこのような理解に立って、教育荒廃の現状や追い付き型近代化の過程でもたらされたマイナス面に照らし、個人の尊厳、個性の尊重、自由・自律、自己責任などを強調する必要があるとしたのである。

さらに、「平和的な国家及び社会の形成者」については、「平和国家、文化国家、民主主義の成熟を目指す正しい国家意識の涵養、勤労と責任を重んじるなどの社会的責任の自覚、個性豊かな文化や伝統の継承・創造・発展のための努力が不可欠であることを明確にしたものと」いう理解を示している。

以上のような教育基本法の精神の理解と、教育の歴史と現状などを基礎とした「二十一世紀のための教育の目標」の内容は次のとおりである。

(一) これからの教育は、特に人間の心と健康の大切さを認識し、子どもの心身両面の均衡のとれた発達に最大限の努力を払う必要がある。このために「ひろい心」と「すこやかな体」が挙げられた。また、二十一世紀に向けて、特に必要なものとして、芸術、科学、技術等のあらゆる分野において「ゆたかな創造力」の開花が必要であるとしている。

(二) これからの教育は、特に自ら思考し、判断し、責任をとることのできる主体的能力等の涵養が大切であり、このために「自由・自律の精神」を挙げた。また、人間は一人で生きているものではなく、国家社会の一員であることから「公共の精神」が大切であるが、この中には異質性・多様性に対する寛容の、心も含まれる。

(三) 新しい国際化の時代を迎えて、全人類的視野に立って、国際社会に貢献し信頼される日本人、日本文化の個性と多様な異なる文化の優れた個性の両者を深く理解する「世界の中の日本人」の育成が大切であるとした。

なお、臨教審はこの三つの目標については「現段階でまとめてみると」という形で呈示している。個々の教育委員会や学校は、この目標を参考にして、それぞれの立場からの研究をもとに、より分かり易く、具体的な目標を立てていくことが期待されるのであり、全国津々浦々の学校で、この三目標がそのまま掲示されるべきであるというようなものでないことを附言しておく。

 

伸びゆく子どもたちに21世紀を生きる豊かな力を

伸びゆく子どもたちに21世紀を生きる豊かな力を

 

提言

 

 

 


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