教育福島0129号(1988年(S63)02月)-050page
ふるさと探訪
県指定重要文化財(考古資料)丈龍私印(一顆)
私印は鋳銅製で貞観格の規による私印の寸法通りである。印文は「丈部私印」とされたが、二字目は部とは認められず、「龍」の字の旁のみを書く異体字とする説が有力である。丈は丈部の姓を表わし、龍は名の一字をとった省略法による私印で、古代の岩瀬郡の有力な豪族に丈部姓があることから丈部氏との関連が考慮され、本県古代史上極めて重要な考古資料である。
所在地 天栄村大字下松本字原畑78
所有者 天栄村
県指定重要無形民俗文化財
(風俗慣習)
大滝神社の浜下り行事
四月八日という大切な日に潔斎を重ねた氏子が神霊を笈に納めて背負い、木戸川に沿って十数キロの道のりを神の再生を目的とした潮垢離のために海岸まで神幸する行事である。
潔斎、神迎え、潮垢離、作占など古代の祭りの風をよく残していて民間信仰上貴重である。
所在地 楢葉町上小塙字宮平一
保護団体 大滝神社浜下り神事保存会
県指定史跡本屋敷古墳群
河岸段丘上に築造された古墳群であって、前方後方墳一基、方墳二基、円墳一基よりなる。主墳は前方後方墳で全長三十六・五メートルを測る。内部施設は、前方部と後方部の二か所に存し、後方部は割竹形木棺、前方部は箱式石棺で四世紀後半の築造と考えられる。方墳や円墳は、これよりやや遅れ五世紀中の築造と考えられ、群構成の順序が明らかであり、福島県の古墳の系譜を考えるうえで極めて重要である。
所在地 浪江町大字幾世橋字伊織迫1の1他
所有者 明治 卓也、明治 一夫