教育福島0130号(1988年(S63)04月)-022page

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初任者研修の試行の概要

 

はじめに

 

教育においては、教員の人格や識見が児童生徒に及ぼす影響は極めて大きいものであり、教育者としての使命感、児童生徒に対する教育的愛情、職務に対する専門的知識や豊かな教養、これらを基盤としての実践的指導力の向上を不断に図ることが重要である。

初任者研修制度はこのような趣旨から臨教審の提言を受けた国の重要な文教施策として行われるものである。そのため初任者研修の試行は昭和六十四年度からの本格実施を円滑に行うためのものであり、教員の資質の向上を図るため、新任教員に対して、実践的指導力と使命感を養うとともに幅広い知見を得させることを目的としているものである。

本県における初任者研修の試行は、昭和六十二年度に引き続き昭和六十三年度においても、この趣旨に基づき、新任教員の一部を対象として小学校、中学校、高等学校及び盲・聾・養護学校の全校種にわたって指定校方式により、初任者研修制度の内容・方法等の効果的な在り方を実地に究明するため行われるものである。

 

一、昭和六十二年度の試行から

昨年度における初任者研修の試行は、全体的にみると円滑に推進されてきたところである。

各指定校においては、指導教員を現職教育部や新たに初任者研修係等を設けて位置づけたり、対象教員の校務分掌や学級担任への配慮等、指導教員や対象教員の校内での配置に工夫がみられた。また研修時間や児童・生徒と接する時間の確保のため、指導教員と対象教員の校務分掌や授業時間数の軽減、時間割編成の工夫等、各指定校の実情に応じた研修体制の確立により研修が進められた。そのため、初任者研修の試行上の課題であった研修体制の在り方、研修内容の編成、指導の在り方等について多くの成果をあげることができた。また、初任者を育てるための校内協力体制が確立し、指導教員を中心とした教員によるきめ細かな指導により、対象教員の実践的指導力が向上するとともに、教員としての使命感が養われてきた。

教育センター等研修は、宿泊研修、諸施設訪問等研修、ボランティア活動等、対象教員から好評を得、知見を広める上で効果的であった。

 

一方、昭和六十三年度試行の中で一層改善、工夫を加える必要がある点は次のとおりである。

(1)、初任者研修の目的達成のための研修内容について

○ 実践的指導力、使命感、幅広い知見を養うそれぞれの研修内容。

○ 教育センター等研修と校内における研修の研修内容の整合性

○ 諸施設、企業、ボランティア活動等、研修施設の確保。

○ 研修内容に応じて他校種間の連携の在り方。

○ 教育センター等研修を円滑に実施するための研修方法・運営等の連絡調整。

(2)、ゆとりのある研修について

○ 指導教員、対象教員の校務分掌と授業時間の軽減の程度。

○ 研修日・時間の設定、一週間の指導時間の程度。

○ 研修内容の精選、重点化。

○ 経験豊富な非常勤講師の確保と非常勤講師の勤務態様。

○ 対象教員の主体生を伸長させる指導の工夫。

(3)、校内での研修を円滑に推進するための校内協力体制について

○ マンツーマン指導制と校内研修体制の確立。

○ 対象教員が研修のため学級をあけるときの授業の在り方。

○指導教員の適正な校務分掌と校内組織への位置づけ。

 

二、昭和六十三年度試行の概要

次に昭和六十三年度の試行計画については、以下のとおりである。

1、目的

初任者研修の試行一以下「試行」という)は、新任教員に対し、実践的指導力と使命感を養うとともに幅広い知見を得させることを目的とする初任者研修制度の円滑な実施を図るため、新任教員の一部を対象として研修を実施し、その内容、方法等の在り方を究明することを目的とする。

 

2、内容

(1) 試行指定校及対象教員数

(表1・2参照)

 

(表1)小・中学校

 

 

 

 


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