教育福島0130号(1988年(S63)04月)-035page

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二十六ページより続く

 

自然に親しみ、協力して働く、喜びを勤労生産学習

柳津町立柳津小学校

 

一.主題設定の理由

本地区は農山村に位置し、児童にとって農作物や農業作業を見る機会は多い。しかし、児童が自ら汗を流して活動したり育てたりする経験は少ない

そこで、本校では昭和五十八年から創意活動の時間を利用して栽培学習を実施してきた。この栽培学習はともすると、児童にとっては与えられたことを消化するだけの活動になりがちで、自ら世話をし、自ら育てるという生産過程そのものを重視した活動とは言えない面があった。

これらのことから、勤労生産学習のねらいを「栽培活動を通して生産の喜びや働くことの喜びを体験させ、最後までやりぬく子どもを育てる」「一粒の種子から生まれる自然界の摂理を感受し、豊かな人間性を育てる」「お互いに助け合い、励まし合い、ねばりと責任感の強い子どもを育てる」の三貞に絞った。そして、勤労生産学習を積極的に学校生活に取り入れることにより、学校教育目標「思いやりのある、たくましい柳小の子ども」の具現化に努め、知・徳・体の調和のとれた「人間性豊かな児童の育成」を目指すことにした。

 

二.研究の目標

従来からの栽培学習の反省を受けて児童一人一人が汗を流し、生産過程を大切にしながら、自ら自然を見つめ協力して仕事をする「喜び」を味わい、自己実現に向かって「楽しい」学校生活を送れることを目指し、研究の目標を次のように考えた。

(一) 児童一人一人が自ら自然を見つめ協力して生産し、自己実現を目指す勤労生産学習を教育課程の中にどう位置づけたらよいかを明らかにする。

(二) 勤労生産学習における栽培方法や指導法はどうあればよいかを追求する。

(三) 勤労生産学習の効果を高めるために、生産物の利用のあり方や地域社会との連携をどのように考え、どのように進めたらよいかを明らかにする。

 

三.研究の内容

(一) 勤労生産学習の年間計画の作成

○ 勤労生産学習年間基本計画

○ 作物栽培計画

○ 学年別勤労生産学習年間計画

○ 各教科・道徳・特別活動・創意活動の時間との関連

(二) 勤労生産学習の効果的な指導のあり方

○ 勤労意欲を高めるための児童一人一人を生かす活動過程の工夫

○ 事前・活動・事後を通した児童の変容が生かされる指導法の改善

○ 児童の実態調査の実施と変容の把握

○ 日常の活動記録や資料の収集

(三) 勤労生産学習の効果を高めるための運営のあり方

○ 作物の効果的な利用法の検討

○ 生産方法・栽培技術の研修

○ 地域社会との連携・協力の推進

 

四.研究の実際

(一) 勤労生産学習の目標と学年目標

(二) 教育課程との関連

(1)各教科と勤労生産学習

関連可能な教科は、国語・社会・理科・図工である。主として活動記録の保存が中心であったが、収穫物を使った算数の重さの学習も考えた。

(2) 道徳と勤労生産学習

道徳の時間の指導は、勤労生産学習を支える心情面の育成の上で大きな関連がある。道徳の指導内容の中で「向上心」「勤労と奉仕」「動植物・自然愛護」.「自由と責任」「思慮・反省」などは深い関連がある。

(3) 学級会活動と勤労生産学習

各学年ともに「計画」「管理」「反省」の話し合いを三時間ずつ位置づけた。

(4) 学級指導と勤労生産学習

各学年ともに二時間ずつ位置づけた。内容は年度当初の取り組み方の確認と収穫方法である。

(5) 勤労生産的行事と勤労生産学習

勤労生産学習を効率的に進めるために五時間(六年生は六時間)を位置づけた。学校農園くわ入れ式、作付・田植え、収穫、収穫感謝祭がその内容である。

(6) 創意活動の時間の活用

年間百十時間の創意活動の時間の使い方を検討し、栽培活動のために二十一時間を確保することにした。その他の時間は教育相談・愛校活動・委員会活動等に当てるが、細かな計画があったことで円滑に進められた。

 

資料1.勤労生産学習の目標と各学年の目標

 

 

 

 


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