教育福島0130号(1988年(S63)04月)-037page
理解させながら実践した。
(六)活動の記録例
○うねづくり
一年二組 ささきしんじ
なかよしのうえんに、とうもろこしのおうちをつくりました。
あさってひっこしだよ。めんどうよくみるからね。こやしもたくさんあげるからね。………
○草とりをしながら聞こえた言葉
五年二組 増井恵理
「ああ、さっぱりしたよ。ありがとう。………。」「ごめんね。おそくなって」と私は、じゃがいもと話していた。……じゃがいもの声が確かに私には聞こえた。
五.研究の成果と今後の課題
(一)研究の成果
昭和五十八年からの栽培学習が、教育課程外の活動であったのに対し、二年間の勤労生産学習の指定研究では、教育課程の中に明確に位置づけて実践した。そのため、単なる作物栽培に終わることなく、正しい勤労観や動植物・自然愛護の心情を育てることにつながり、成果があった。具体的に、児童の姿として
1)作物や草花の栽培に興味を持ち、大切に扱うようになった。
2)作業への取り組みが積極的になり他の学習へも効果が表れ始めた。
3)自然に対する驚き・収穫の喜び・汗を流す尊さを体得できた。
また、共働実践を通して教師側も
1)教室では見られない児童の一面が見られ、児童理解に役立った。
2)勤労生産学習の意義が理解できた。
3)学年共通の活動のため、学年経営・学級経営の活生化に役立った。
(二)今後の課題
1) 草木と語り合う姿がめばえ始めたので、勤労生産学習を継続し、しつかりと定着させる。
2) さらにゆとりある位置づけをし、指導法の工夫と栽培技術習得を図る。
3) 栽培活動で培った勤労意欲をさらに高め、勤労の日常化を図る。
目標にむかって、協力し合い進んで実践する生徒の育成
−勤労青年学習を通して−
鹿島町立鹿島中学校
一、主題設定の趣旨
本校では教育目標として、「自ら学習する生徒、心豊かな生徒、健康でたくましい生徒」を掲げ、その具現に向け努力してきた。特に、社会に貢献できる人間として要求される心身の健康や耐性、正しい判断力や実践力の育成に努めてきた。
しかし、衝動をおさえ、落ち着いて行動できる反面、相手を思いやる気持ちや協調性、さらには、工夫を働かせて自ら実践する態度などについてはやや欠ける傾向にあり、その改善が課題となっていた。生徒の学校生活の様子を見ても、勤労の場である清掃、花壇づくり、美化作業などで協力し進んで実践したり、みんなのために進んで奉仕したりする活動はまだ弱かった。
そこで、本校が昭和六十一、六十二年度に文部省指定の勤労生産学習研究推進校を受けたことを機会に学校や地域の環境を生かし、勤労生産学習を推進することにより、本校の課題解決を図ろうと、学校の教育活動全体を通して取り組むことにした。
二、研究の方針
1)基本方針
教育活動全体の中に勤労生産学習の考え方を取り入れ、思いやりや勤労意欲などの心情を深め、また、確実な理解のもとに実践する態度を培い、自主的に活動が進められるよう、各教科、道徳、特別活動及び創意ある教育活動の時間の指導計画や指導法を研究する。
また、「栽培活動」中心の学習を通して地域の産業に関心を持たせたり、ねばりのある態度を育成したり、主題とのかかわりで、作物をはじめ日常使うものを大切にしたり、自然の厳しさを認識させたりすることを目指す。そのため、生徒がやらされているのではなく、自らの作業意欲を持続させる指導のあり方を学級、学年の経営や授業を中心に研究を進める。
2)具体内容
1)効果的に指導を進めるための計画作成と指導法の研究
○ この研究においては、確かな勤労観を養うとともに、本校の課題としている協力性や自主性を育てることもねらっている。そのため、勤労生産の活動のみでなく、三領域それぞれにおける研究が必要と考えた。
2)栽培種目、取り組み方、生徒の活動のあり方や協力体制の検討
○ 本校は生徒数七百名を越える規模を持ち、生産活動にも独自の工夫が必要であると考えた。
足踏み脱穀機による作業(6年)−水稲栽培−