教育福島0130号(1988年(S63)04月)-058page
ふるさと探訪
県指定重要文化財(彫刻)木造十二面観音菩薩坐像(一躯)
所在地 山都町字館原4660
所有者 久昌寺
本像はヒノキの一木造の坐像で、体幹部は頭体の主材を一木で木取りし、両肩先、両肘先、膝前をそれぞれ別材で矧ぎ寄せ、内訓はない。木像底部の墨書に文字の不明な箇書があるが、西会津町真福寺の木造地蔵菩薩坐像(県指定重文)とほほ同文で、不明文字も推定でき、この銘文によって本懐は十四世紀、法眼道円の作と考えられる。
仏師道円の弟子である乗円の作品は、前述真福寺の地蔵菩薩坐像を始めとして、本県内にのみ六ないし七例が存在しており、今回師の道円の作品が確認されたことは中来から隔った当地方における正統仏師の系譜、足跡を明らかにしたものとして貴重である。
県指定史跡
谷地久保古墳
本古墳の墳丘の形は明らかでないが、その主体の石槨は南南東に開口し、天井石、床石、真壁、両側壁が五個の切石で築かれているほか、閉塞石と羨道の石とみられる二個の石が石槨付近にある。
石槨は玄室と考えられ、高さ一・二〇メートル、幅一・三八メートル、奥行一・四二メートルの規模であり、この玄室は蔵骨器を収容する目的で築造されたものである。
東北地方では、この古墳以前に蔵骨器を納めた例は知られず、稀な主体部をもつ終末期古墳である。また、関和久官衙遺跡、借宿廃寺跡等周辺の古代遺跡との関連からも重視される古墳である。
所在地 白河市大字本沼字岩井戸三番地
所有者 荒井忠男氏ほか
▲谷地久保古墳測量図
ふるさとの文化財