教育福島0131号(1988年(S63)06月)-039page

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2) 「長高だより」の作成と配布

地域の人々との懇談の中で、「分校の頃は長高がよく見えたが、独立後は見えにくくなった」という声が聞かれるようになったたことを重視し、月一回の「長高だより」を保護者と町内の全家庭に町役場と連携して配布した。

記載内容は「行事・指導事項」、「生徒の生活・活動」等についてである。

最近では、学校内、生徒の様子がわかって、次号が待ちどおしいとの声が聞かれはじめている。

3) 中学校との連携

本校における生徒指導全般にわたる状況と本校への要望などについて語り合う「長沼高校の教育を語る会」を本校において開催、長沼町、岩瀬村、天栄村の教育委員会の代表者と、それぞれの町村の中学校の校長及び教諭を招いた。この会のねらいは、一つには、地域の町村及び中学校に対して本校における教育活動の実際について理解を得ようとするものであり、ついで、本校に対して客観的な立場から、地域や中学校が何を望み、何を期待しているかを知ろうとすることであり、さらに、生徒募集についての協力要請の三点が主なものである。第一回目が閉会されるにあたって、参加者から「継続」の要望が出たことは、「手ごたえあり」と実感できた。

 

六、成果と今後の課題

(一)、成果

二年間という短い研究期間の中で、「どの程度、研究主題に迫ることができたか、本校の抱えている生徒指導上の課題をどの程度解決し得たか、またどのように生徒の変容をみることができたか」とふり返ったときに、それぞれについて自信を持って回答を示すことができないのが残念である。

しかし、二十二回の研究推進委員会や小委員会を重ね、その中で生徒の実態を知り、洗い出した諸方策を検証することができたことは、本校にとって大きな収穫であり、今後の生徒指導に大いに役立つことと期待している。

研究の成果は次のとおりである。

1) 教職員が本校における生徒指導上の課題を共通に認識することができた。

2) 研究を進めるに従い、課題解決に向けて意欲を燃やした。

3) 今まで漠然ととらえていた生徒や保護者の実態と意識を、より具体的に把握することができた。このことにより、課題解決のためにはどのように対応すべきかを真剣に考えるようになり、教師自身の意識変革につながったことは貴重な収穫であった。

4) 一つのテーマで研究に取り組むことにより、校務分掌の各部、各学年の連携が強化された。

5) 基礎学力向上のための対策や適応指導充実のための対策において「生徒の実態に即しているかどうか」という観点が加えられ検討されるようになった。

6) 諸方策の改善と教師の意識の変容は生徒に敏感に伝わり、ホームルーム、生徒会活動、部活動などの特別活動が、今までになく活生化した。また、生徒の自主性は順調に育っている。

7) 諸方策を実践した結果、今まで中間的、日和見的存在で他に染まりやすい生徒たちが、良い方向に変容した。

(二)、課題

1) 本校における生徒指導は、教師主導型にならざるを得ないが、最終的には、生徒が「自己を啓発し、自律心を養い意欲的に生活する」ことができることを念頭に置き、指導に携わることが重要であると考えている。そのためには教師自身が、人間性豊かな人間であるべきであり、自己を磨くことに努めることが第一の課題である。

2) 諸対策の中で今後考えなければならないことは、遅刻防止対策についてであるが、これまで述べた対策が現状にそぐわない方法もあることを考え、今後改善すべく検討を始めたところである。これまで実施した指導が、時が過ぎ、人が変われば効果も見えにくくなり、形骸化してしまうことも予想される。したがって毎年改善検討を加え、確認し合うことが重要である。

 

七、おわりに

二年間の研究を一応締めくくることになるが、ふり返ってみると、あれもこれも抜けていたことが目にっき、研究の計画性や実践力の乏しさに口惜しさを感じている。

しかし、研究の指定期間は終了しても研究や実践が続くわけで、これからが正念場であると自覚しているところである。

数字の上では生徒が望ましい変容を遂げたということは具体的に現れてはいないが少なくとも中間層にいる生徒の引き上げができたという確かな手ごたえを得ることができた。

最後に、生徒が本校での生活をどのように感じているか、感想文の一節をあげて終わりとする。「………、長沼高校の本当の良さは先生と生徒の間のつながりの深さだと思います。」 三年男子

 

 

 

 

 


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