教育福島0131号(1988年(S63)06月)-048page
図書館コーナー
分類の話
−資料をうまく利用するために−
県立図書館
現代は情報化社会といわれますが、大量の情報の中から必要な情報を取り出しうまく使いこなすことがいかに重要であるかは言うまでもありません。
図書館は、先人の知恵の記録を残し、現代の情報を集めています。そして、それを分け七整理しています。整理しない資料はまったく使えません。ただの紙くず同然です。資料の整理は、図書館において最も重要なものです。いかに分類し、整理するかによって資料の活用効率が大きく左右されるのです。
今回は、資料をうまく活用するための手段として重要な資料の分類についてお話しします。分類についての知識を得るということは、図書館をうまく使えるということだけではありません。情報収集能力に長けることです。
目録について
ここで、目録について少し触れておきます。『広辞苑』によれば、目録とは「書物の内容の見出しを順序立ててならべたもの。所蔵・出品されているものの品目を整理してならべたもの」とあります。図1館における目録は、図1などを効率よく探すために順序立てて内容の見出しを並べた資料です。見出しは、書名、著者名、件名、分類などがあり、用途・機能により、冊子体になっているもの、カードによるものなどがあります。そして、分類を見出しとしたのが分類目録であり、目録の中でも最も重要なもののひとつです。
歴史的にも目録はオリエント文明の時代から存在していましたが、その多くが分類によって区分されたものでした。分類目録は、検索手段の基本です。
分類目録とはなにか
分類目録は、目録の最も典型的なもので、世の中の事象を一定のルールにしたがって分けて順序をつけ、その書名や著者名、大きさや出版された年、その資料のある場所などの情報を記入しておくものです。経済に関するものとか歴史に関するものなど、主題によって探すものです。
分類目標には、主題を列挙していく列挙型や主題を概念的に分析し統合する分析合成型があります。日本での資料の分類は、図書館に限らず多くの場合、列挙型の代表であるデューイの十進分類法を日本に適したように区分し直した日本十進類表を採用しています。
日本十進分類表
この世の事象を大きく十(類目)に分けて、さらにそれぞれを十(綱目)に2次区分していく。そして、それを数字に充てていく。これが十進分類表の基本です。表1は、日本十進分類表綱目表の一部です。これをさらに3次区分(要目)4次区分一細目)と分けていくのです。
どこまで区分するかは、その図書館や公民館図書室の蔵書量とどこまで調査機能を充実させるかによるのですが、単純に考えれば、要目までで千に区分され、1万冊の蔵書であればこれで充分です。ただし、部門的に集中して冊数がある分野は細目まで区分する必要が出てくるかも知れません。
いずれにせよ分類目録は資料の利用があって初めて必要とされるものです。あくまで資料が利用される時に活用効果を高めるためにでてくる作業であるとの認識を持つべきでしょう。
ところで、分類目録は特に重要だという理由は、検索としての需要が多いという他に、多くの図書館で分類番号順に資料が並んでいるというところにあります。分類目録は、主題によって必要な資料を探すことを目的に作られていますが、同時に資料のある場所の住所の役割も兼ねているのです。つまり、分類体系がわからないと求める資料のある場所が容易に掴めないのです。
これからは生涯学習の時代です。誰もが、それぞれに興味を持ったこと、生活に必要なことを独自で勉強できるようになったのです。一方、私たちを取り巻く資料や情報はますます増大してきています。そして、私たちが必要とする情報も増えてきています。記憶だけに頼るのはもう限界です。すると必要な時に必要な資料を効率よく探すための技術が個人でも必要になってきます。この技術のひとつが分類なのです。分類は、もう図書館だけのものではなくなってきているという気がするのです。
表1.日本十進分類表