教育福島0131号(1988年(S63)06月)-051page
世界の教育は今
海外教育事情の紹介
地域に開かれた学校
−フランス−
学校坊間から
パリ郊外、イブリシュールセーヌにあるアイージシュタイン小学校は、プランスの著名な建築家が、教師、父母、地域の人々、そして、子どもたちの願いを取り入れながら設計し、一九八二年に創立したモダンな校舎である。男二名、女十一名の教員と、十一学級、二百九十一名の児童が学習しており、週当たりの授業日数は四日、年間授業日数は百五十七日となっている。
この学校は「地域に開かれた学校」を最大の目標におき、その具現化に努力している学校で、校門の一部は商店であったり、校舎二階の一部は一般の住宅になっているなど、日本では考えられないような形で地域と一体化を図っている学校である。校舎の内部には、子どもたちの要望を聞いてとり入れた地下の迷路。自由な雰囲気で活用できる図書室。完全に整備された食堂。校内はどこでも車いすを使っていけるような工夫など、目を見張るものがある。
また、留守家庭の子どもたちのために専任の教師が付いて指導する教室や地域の人々が来て教育相談の場にしたり、調査・研究をしたり、手芸などをしたりという教室も校舎内にあり.特徴のひとつになっている。どの教室にも、トイレ、水道、そして小さいながらも花壇があり、たくさんの草花が手入れもよく、生き生きと育てられていた。授業は、真剣な中にも、伸び伸びと展開され、一人一人がとても大切にされていることに強い印象を抱かせられた。
フランスの学校制度
プランスの学校制度は一九五八年の義務教育年限の延長を皮切りに六十年代における数次の改革を経て、七十年代半ばのルネーアヒー教育大臣による初等・中等教育全般にわたる改革によって現在の体制が確立した。この国の学校制度の特色としては、
1)教育行政制度が中央集権的で、公立中心の教育が行われていること。
2)授業科目の種類や教育内容が細かく規定されていて、地方による差があまりないこと。
3)単に年数がたてば進級するのではなく、試験、又は、平常の成績の判定による課程終了主義をとっていること。などがあげられる。子どもたちは、幼稚園、又は、小学校付設の幼児学級・幼児部などで、二〜三歳を対象とした就学前教育を受けた後、年限十年の義務教育に入る。
ここでは、五年間の初等教育と、四年間の前期中等教育(コレージュ)、一年間の後期中等教育(リセ)に分かれ、前期から後期への接続は.生徒の資質.希望進路により一部弾力的に行われるよ・りになっている。
高等教育は.「バカロレア」取得国家試験(中等教育終了認定と大学資格付与を兼ねる国家資格)に合格した者に開かれ、国立総合大学.各種のグランゼコール(高等専門大学校)、リセ付設のグランゼコール準備級・上級技術者養成課程.師範学校などがある。
(昭和六十二年度教員梅外派遣塩期東北ブロック四八一団 福島市立矢野目小学校 教頭 加藤 ◆夫)
明るい教室で学習に取り組む子どもたち
校舎全景地域と一体化