教育福島0132号(1988年(S63)07月)-010page
学習技術の訓練も忘れてはならない。国語辞典、漢和辞典の正しい引き方、百科辞典、学習辞典での調べ方、地図帳や年表の活用、様々な理科機器の使い方など、毎日の授業の中で、計画的継続的に指導し、児童生徒が興味をもって活動する過程で身につくように配慮していくことが大切である。
3)主体的な学習活動をさせる工夫
教師主導で授業を展開することは容易であるが、児童生徒に主体的で生き生きと活動させるのは、大変難しく、ち密な計画の立案が必要である。
授業中に主体的な活動の場を設定するために、次の点に留意することが大切である。
1)指導内容を基礎的・基本的事項に精選して、時間的にゆとりをもって十分活動できるようにする。
2)一単位時間の中に、中心となる活動を明確に押えて、時間を十分にとって、児童生徒に自己決定の場を適切に与える。
3)一人一人の児童生徒が課題を持ち見通しを立てて活動していけるよう援助指導の工夫をする。
4)「何をするのか、どうするのか」が分からない児童崖徒には、学習の仕方についての梱別指導を適時行う。
5)自己評価や相互評価をさせ、主体的な活動に対する児童生徒によるまとめを重視する。
4、指導計画の自校化の推進
児童生徒に基礎・基本を確実に習得させ、個性と創造性の伸長をめざした「特色ある学校教育」を推進していくためには、地域や学校の実態、児童生徒の発達段階と特性に即した教育課程の編成と実施が特に重要である。
各学校で特色ある教育課程を編成するためには、指導計画の自校化は不可欠の仕事である。
1) 指導計画の自校化を進めるための配慮事項
指導計画の自校化の必要性が強調されながら、容易に実現されない現状であるが、各学校においては次の点に配慮して自校化を進めることが必要である。
1)学校の実態に即した自校化の在り方を工夫する。
自校の教育課題の解決のために、何を自校化するか、何が実現可能かを明確にして、重点的に実施する。
2)児童生徒の実態把握の仕方を適切に行う。
知能検査、標準学力テスト、各種の実態調査の実施結果の分析資料やその他観察記録等多様な資料を総合的に活用して、実態を的確にとらえる。
3)学校の施設、設備との関連を考慮する。
社会、理科をはじめ音楽、体育等の技能教科では、施設、設備が整っていないと授業が効果的に展開できないので、計画的に整備するとともに現有の設備、備品の活用が一層図られるよう、学校の実情に即した指導計画を立てる必要がある。
4)学校の規模、職員組織の現状を考慮する。
学校が一丸となって、校長のリーダーシップのもとに共通理解を深めて自校化を推進できる体制をつくることが必要である。
5)地域の特性を生かす配慮をする。
国際化への対応のためにも、郷土教育の大切さを認識し、地域素材の教材化に努めることが必要である。また、身近な事象の学習は、児童生徒の興味関心を喚起し、学習意欲の高揚にもつながる。
2) 指導計画自校化の内容と方法
指導計画を作成する時期一三学期一になってから、何を自校化するか考えては自校化はできない。年間を通じて指導の反省、評価を踏まえて、次の事項について資料の集約を図ることが大切である。
1)自校化の内容
○ 単元の配列 地域性を生かし、季節や行事との関連で工夫する。
○ 指導内容の軽重 児童生徒の実態から指導の重点化を図る。
○ 指導時数−重点事項には時数を多く配当し、指導の徹底を図る。
○ 基礎学力の充実2)自校化の方法
○ 自校化の研究推進組織 視点を明確にして組織的に進める。
○ 推進者による日常活動と資料の集約−週案簿の活用等。
「計画のないところに実践はない」と言われるように、指導計画の改善、充実は児童生徒の主体的学習態度の育成と基礎学力の向上のために最も重要な研究課題であり、学習指導の質的改善のためにも、各学校での意欲的な実践研究が期待されている。
次に紹介するのは、学習意欲を高め主体的な学習態度の育成に取り組んだ塙町立片貝小学校(文部省指定)と郡山市立郡山第三中学校(郡山市教育委員会指定)の研究実践の成果である。各学校で大いに参考にしていただきたい。
一人一人の意欲を高め、主体的に学び取るカを育てるための国語科の学習指導法の改善
−塙町立片貝小学校−
一、主題設定の趣旨
本校は、山間へき地に位置し、全校生七十一名という小規模校である。児童は、純朴で素直な反面、消極的で引っ込み思案になりがちで、まとまった話をしたり、はつらつと会話したり